dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

大空港を観た

 本当はマンチェスターバイザシーを観に行こうと思ってたんですけど、雨が降ってたので止めました。で、その代わりってわけではないんですが、録画していた『大空港』を観ることに。

 や、普通に面白かったです、これ。いわゆるグランドホテル形式で、オールスターキャストのパニック映画の元祖ともいえる作品らしいです(ウィッキーさん参照)。1970年の映画ってことで、ほとんど半世紀前の作品なんで、今ではあまり見かけない映像手法を使ってもいたので、それも新鮮でしたね。まずはスプリットスクリーン登場人物が遠隔から話す場合(無線や電話)、必ずと言っていいほどスプリットスクリーンを使っています。ドラマなんかだと使われてる印象がありまうが、映画ではあんまり見かけないですよねぇ。だけどあまりにてらいなく使うので、逆に違和感はないという。ハリウッドの作品って会話の場面だと話す人物が変わるたびに話者のアップをカットで繋いでいて画面が忙しないんですよね。70年当時の作品でもここまでスプリットスクリーンを多用してるのってあんまりないと思いますけど。

 あと脚本が凄い。冒頭のアクシデントがちゃんとクライマックスに有機的に結びついているだけじゃなくて、一つ一つの小さな事件やら人物のやり取りの中でちゃんと人間を描けているっていうのが秀逸ですね。脚本の秀逸さで言ったらダイ・ハードにも引けを取らないんじゃないですかね。まあどこだどうすごいかとか、伏線に関してはWikipediaに乗ってるし普通に検索すれば解説してる親切な人がいると思うので、知りたい人はそちらに行くとよろしいでしょう。三宅隆太のスクリプトドクターでも『大空港』が取り上げられていましたが、これは納得。

昔の役者のことはそこまで詳しいわけではないのですが、どこかで見た顔や聞いた名前がある人がキャスティングされていて、観ていてまったく不安を感じないんですよね。よく子役の演技じみた演技とか、日本人でもわかる明らかない大根な外国人キャストなんかは、少し前の邦画でふっつーに観られましたからねぇ。最近でもちはやふるの子役がちょっと演技過剰だなーとか、シン・ゴジラの外人の演技だけ明らかにアレだよなーとか(どっちも好きな作品ですが)あったので。

 あとジョーケネディ。超高層プロフェッショナルではいきなり死んでしまう役柄にもかかわらず「こいつ良いやつだろ」オーラを放っていましたが、今作でもそんな人物をやっています。死にはしませんが。最後の飛行機に一言かけるところとか、めっちゃいいです。この人好きですわ、自分。

 メイン以外のちょっとした端役もいい味出してるんです、この映画。衒学的なクソガキとか、そいつのせいであわや作戦がバレてしまうかもしれないという中での機長の機転のきく切り返しとか。ほかにも神父さんが悲観主義の男に裏拳(だったかかしら)かますところとか、普通に笑えます。あと、不倫をさりげなく肯定的に描いているのもすごい良かった。肯定的というか、二人の気持ちの必然の結果という気がするので、納得しやすいというかなんというか。

 あとまあ、これは単純にフェティッシュなんですけど、「巨大な無機物と雪(雨でも可)」の組み合わせがすごい好きなんですよね。だから飛行機と吹雪っていう画面がもうね。ワイルドスピード・アイスブレイクも言いたいことは結構あるんですが、氷上カーレースとかすごいいいですしね。

 パニック映画ですし人が死んだりはしますが、随所に笑いが散りばめられているのでブルーにならないのもいいところですね。

 万人が楽しめる映画ってこういうことなのかなーと思う。

 余談ですが70年代を舞台にしたネットフリックスのアニメ「FはファミリーのF」でも主人公のおっさんが空港に勤務していたので70年代って飛行機がフィーチャーされてたのかなと。