一応、黒澤明の「用心棒」をギャング映画に翻案したということになっているんですがBSで観たのはとくにクレジットはなかった気が・・・。ていうかTBS系列なのにテレ朝吹き替え版だったのはなぜなんだろうか。いや、主演のブルースウィリスの吹き替えが今は亡き野沢那智だったり江原正士とか田中敦子とか郷里大輔とか稲葉実とか、シンプソンズとか洋画吹き替え常連の声が聞けたので良かったのですが。ていうかソフトに収録されてないんだったら録画してディスクに焼いておけばよかったかも。
用心棒を下敷きにしているだけあって話の面白さは担保されているわけなんですが、アメリカンテイストとしてか弱い女性がスミス(ブルースウィリスの役名。偽名ですが)のモチベーションになっているところとか、やや感じますよね。弱者という部分は通底しているわけなんですが、より卑近な存在になっているので用心棒の三船より感情移入しやすい気がします。ていうか黒澤作品における三船ってベクトルはどうあれ超然的な人物として描かれることが多い気がするんですよねぇ。
さてさて、製作ではよく名前を聞くウォルターヒルの監督作品ということでどんな感じなのかと思ったのですが、それなりに楽しめました。しかし、これまでこのブログに綴ってきた作品で感じたような目新しさや違和感というものはあまりなかった気がします。手堅いというか、無難というか。佳作といった感じで。
ただ、黒澤明作品のリメイクや原案にしたものを観ることで再認識したことがありますです。なんとなくのイメージですが、黒澤明という監督を語るときって、よく映像手法的なことが先行的に取り扱われる気がするんですよね。もちろんそういうこともあるとは思うんですけど、そういう技術的なこと以前に、物語が普遍的な面白さを持っているってんじゃないかということ。だから、あの人の作品って今の尺度で考えると平然と二時間半超えてくるような長尺作品が多いのにダレないんじゃないかなぁ。とはいえ、リメイク作品(最近だとマグニフィセントセブンとか)を観ているとそれでも冗長に感じてしまう部分があったりするわけで、そう考えるとやっぱり技術的な手腕や作劇というものが違うんでしょうね。
そうそう、バニシングイン60も先日観たんですけど、あれもすげーかったですよ。
あと上映時間の選択ミスってマンチェスターバイザシーを見逃した。ポイントで購入したから銭は手元に残ってるんですけど、普通にショックでした。