dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

フィフティシェイズオブグレイとトランスフォーマーから見えた内面の醜悪さ

なんて書いておきながら「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(面倒なので以下50と略す)」の方は見たことがないという。曰く、成人女性向けの「トワイライト」シリーズであるとか。まあトワイライトシリーズも見たことがないんですが、両者がどういう作品なのかは「the honest trailer」で知っている程度なのですが、まあその程度で十分でしょう(オイオイ)。

 じゃあなんで「50」なのかっていうと、GyaOで「ナインハーフ」を観たからなんですよね。「ナインハーフ」を観ていて「うわーこれ50っぽいなー」などと「50」を未見にもかかわらず思ったのですが、どうやら「50」の監督は「ナインハーフ」を参考にした部分もあるらしいので見当違いではなかったという。「ナインハーフ」自体はミッキー・ロークの若さに驚いたり官能的なシーンだったり色々と楽しめないこともない作品ではありました。ここまで突き抜けて楽しまれたらそりゃ見てるこっちも「楽しそうだなー」とちょっとした多幸感を味わえますよ。あと音楽と官能シーンの組み合わせがなんとなく「フットルース」っぽいなと思う部分があったり。まあ、そんな程度です。

 で、ようやくタイトルの内容にうつるんです。50の原作は本国のみならず世界で大ヒットしたネット小説らしいのですが、聞いたところによると(そんでhonest trailerも)内容やクオリティも含め「恋空」のようであるとのこと。横書きなとこまで恋空と一緒らしです(すっとぼけ)。まあ、端的に言ってしまうといわゆる「なろう系」のアメリカ成人女性版なのでしょう。そんでもって映画の内容も原作そのものということもあってか、ラジー賞を5部門さらっていったようなのですが、興行収入に関しては5億ドル超えとかなりのもの。日本でも続編がこの間公開しました。映画としての評価が低く、自分を含めた映画好き()や男性諸兄から失笑を買いながらも大多数の女性の心を掴んで離さない。はてさて、この構図どこかで見たような気がします。

 そう、「トランスフォーマー」です。わたしの劇場映画の原体験であり3桁はディスクで観ているであろうこの作品とまったく同じ構図なのです。普段は映画に対して思ったことを素直にぶちまけ、つまらないと思ったらつまらないと言いますが、ことトランスフォーマーに関しては「別にいいんだよ、爆発とロボットの戦いがありゃ十分だろがい」というダブスタを発揮いたします。まあそれでもロストエイジに関してはさすがにつまらなすぎたわけです。作家性は全面に出ていましたが。わたしは「なろう系」と呼ばれるものや粗製濫造される深夜アニメ、少し前まで溢れていた酷すぎる邦画に対して批判的であり、それに甘んじる制作側や消費物と欲望処理装置としてのみ作品を享受する受け手を蔑んでいます。

内面の醜さとは、この二律背反にあります。はたして、トランスフォーマーに対する自分のスタンスは自分が嫌うこの連中とどう違うのだろうかと。もちろん、「トランスフォーマー」という作品が当時としては革新的であり少なからずボンクラの映画として物語を綴っていたことや、そもそも原作の持つ楽しさは粗製濫造のそれらとは異なっているというのは贔屓目に見ても確かではあります。でも、抽象化して類推したとき、自分が嫌っていたはずの大きな流れの一部であることに違いはないのです。

ダメ映画でありながらも多数の客の需要を満たすこの構図は共依存です。制作側も観客側も物語ではなく欲望を満たし合うだけという堕落した関係なのです。物語を語る真っ当な映画とそれを真っ当に批評するような、お互いに高め合う切磋琢磨の関係と真逆です。

 伊藤計劃が「キャシャーン」に対して抱いていたアンビバレント(でもないか…?)な思いと似ているのかも。もちろん、「キャシャーン」と「トランスフォーマー」シリーズに関してはバジェットやCGといったもの以外に、監督としての技量や製作総指揮といった各種のスタッフ力が雲泥の差ですから、単純に横に並べるのは双方にとって失礼なんですが(インディー系でしがらみなくやりたいことをやった桐谷と、爆発があるといえどある程度のハズブロからの制約があって縛りのあるベイとじゃ作品の方向性が違う)。

 まあ事実の理論負荷性からして、完全な客観性なんてものは存在しないのですが、最近はあまりにそういう風潮があるような気がしてならないので、自分を戒めるためにもアウトプットした所存なり。

 「バチェロレッテ」とか「8 1/2」とか「ヘルタースケルター」とか「ブレードランナー」とか、最近観た映画の感想もないこともないんですが、こんなところでしょう。