dadalizerの映画雑文

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戦場が変われば描かれるものも変わる

なんていいつつ、描かれるものは基本的に同じ。どちらも、当然といえば当然なんですが。しかし久々に見ている途中で少しお腹が重くなる映画でした。ええ、ハクソー・リッジです。

 良くも悪くも色々と目立つメル・ギブソンが監督としてはおよそ10年の作品ということで各所で話題になっている本作。俳優としてはリーサル・ウェポンとか最近だとブラッド・ファーザーを観ていたりはするんですが、実はわたくし、メルの監督作品はこれがファーストコンタクトだったりします。とはいえ、監督としてもアカデミー賞を取っていたりするので、監督としての腕前が確かなことは知っていたので、不安などはなかったのですが十分わたしの期待に応えてくれる作品でした。

 やはりというべきか、プライベート・ライアン以降の戦争映画を描こうとするとき、監督は「意識してしまう」という宿命から逃れ難いのではないでしょう。実際、つい最近になってようやくライアンを観賞した自分でさえその衝撃は凄まじいものでしたから、戦争映画を撮ろうとする監督は、それが相当な力量のある監督であればあるほど脳裏をかすめてしまうのではないでしょうか。戦争映画、とりわけ本作のように史実に基づいたもので半自伝的な物語では、どれだけのリアリティが出せるかということがやはり重要なファクターになってくるはずですから。そしてその点において、このハクソー・リッジは確かにライアンに比肩する戦争映画であると言っても過言ではないでしょう。そして、沖縄での戦いということで、どうしても日本人である我々は意識せざるを得ないという点で、わたしもライアン以上にこの作品に思い入れてしまいました。

 なんて書くと、日本人で日本が舞台になっているから~と思われがち(完全否定はできませんが)ですが、実際のところは主人公デズモンドのあり方に胸を打たれたからっていうことなんですけどね。

 ガーフィールドはサイレンスでも殉教者を演じていましたが、本当にこの人は表情の機微で人間の内面を描くのが上手くて、見てるだけでどことなく人間性が垣間見えてくるのですよ。強さと弱さを持ち合わせている等身大の人間を演じさせたらピカイチです。そう考えるとスパイダーマンという配役も今思えばかなり合っていたのだと思ふ。

 あとヒューゴ・ウィービングのオヤジのやるせなさ。メガトロンの声優として私の中でお馴染み、マトリックスのエージェント、あるいは指輪物語にも参加してしましたしそれなりに追っかけているつもりだったのですが、もう60近いんですねぇ。

 あと大佐役の人、声がすっごいかっこい。

 予告では「武器を持たず~」という言葉で簡単に言っていますが、実際に本作を見ていると武器を持たずに線上を駆け回ることの驚怖と異常さ、そしてその決意の強さが尋常ならざるものであることを思い知ります。こればっかりは、映像を観ないと実感できないことでしょう。

 プライベート・ライアンみたいに前編まるごと戦争を描いているわけではなく、前半はデズモンドが衛生兵になるまでの過程、なぜそうまでして人を殺すことを忌避するようになったのか、そしてなぜ戦場で救うことを望むようになったのかということが丁寧に描かれます。ベルトとレンガに託された表裏性など、演出のきめ細やかさはわたしのイメージするメルという人物からはかけ離れた繊細で、感嘆するばかりでした。

そうそう、これは今までの戦争映画であまり見たことがない描写として「敵としての日本兵の恐ろしさ」があります。日本兵の自爆。それを敵軍から観たときの鬼気迫る表情と驚怖というものを味わうことができました。同じ日本人ながら、ここで少し泣きそうになってしまいました。そこまでしてなんの意味があるんだろうと。それと白兵戦が執拗に描かれていたのも中々面白かったです。これもライアンにはない部分でしたし、戦場が違えば描かれるものも違うということを如実に表すものなのだなと。

あと特殊効果がすごいことに、今回の爆発はCGじゃなくて飛び散っても危なくないものを使ったりして本当に爆発させてるらしいです。なんだか質感が違うなーと思ってはいたんです(違和感があるという意味ではなく)が、ガチ爆発だったことに驚きました。

 うん、これすごい面白いです。