dadalizerの映画雑文

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愛のある家父長制度

 うん。中々どうして面白い作品でしたよ、「k-19」。

 監督さんはジェームズ・キャメロンの元妻にして「ハート・ロッカー」でアカデミー賞を取ったキャスリン・ビグロー。例のごとくファースト・コンタクトなり。

BS日テレ枠ということで117分な上にCMもバンバン挟まれるので、午後ロー並にカットの嵐。本編138分なのでおそらく40分くらいはカットされているのであろうことがすごい惜しい。

  ロシア(ではなくソ連ですか)の原子力潜水艦k-19」の話なのですが、全編が英語なのですな。字幕がなっちということで色々とアレなところもあるのですが、個人的にはそこまで気にならなかった。というか、英語でこの映画を語ることに意味があったんじゃないかなと。

 つまり、戦後の映画におけるソ連の扱いというのは無機質で恐怖の対象としてしか見られることがなかったわけで、それは多くのホラー映画で描かれている通りです。ですが、この映画に出てくるロシア人たちはみんながみんな血の通った「家族」として描かれます。ディズニーのポリコレではありませんが、ソ連という国を改めて「英語で語り直す」ということに意味があったんじゃないかなーと好意的解釈をしてみたくなったりする。んまー、それこそアメリカ一強故の傲慢さとも受け取れなくはないのですが(というか普通に製作側が興業的なウケを狙った配役なのでしょうけれど)。

 副艦長のリーアム・ニーソンを長男、艦長のハリソン・フォード父親とした家父長制とした原子力潜水艦というアネハ建築の家で行われるドタバタ家族劇と言えば分かりやすいかしら。実質的な主導権というか能力を持ち現場を仕切るニーソン。そこに権力だけは持っている野心家ハリソンパピーがやってきて指揮を始めるのですが、これが家族の反感を買うばかり。そんなこんなでk-19は出発するのですが、炉心がががが・・・。

 ダメなハリソンパパをリーアムニーサンが支えて父の威厳を復権させる話。その中にハリソンの連れ子のピーター・サースガードの成長を描いたり、父の無能さに耐えかねて叛旗を翻しニーサンを頂点に据えようとする三男との軋轢とか色々。

 無機質(に描いてきた)なソ連という国の中における、エモーショナルな団欒と絆を描いた作品でした。これ結構好きですわ。

 

 余談

 キャッチコピーが「世界なんか、一瞬で終わる」らしいのですが、いやこれ世界云々じゃなくて巨大な組織という渦における極めて小さな一つのコミュニティ=家族の物語でしょうよ。「たかが世界の終わり」みたいな意味合いを「世界」という言葉に持たせているわけでないのは作品を見ればわかることですし、冷戦・原子力潜水艦炉心融解という作品の部分的要素を取り出して宣伝した方が売れると思ったのでしょうが、いやー違うでしょ。

 あと、無能な(というか有能ではない)ハリソン・フォードが見れるという点でも必見でしょう。