dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

ダンカーク

 ノーラン新作ということで「ダンケルク」を観てきましたよ。特別好きな監督というわけでもないんですが、とりあえず観ておく程度には好きだったりする。

よく考えたら映画館でリアタイ観賞したの「インターステラー」だけなんですが、ダンケルクを観た限りだとほかの作品がインターステラーを超えてくることはなさそうかなぁ。

 そんなわけで本作はノーラン作品の中でも平均値的な作品なんじゃないかしら。中弛みしつつも後半はちゃんと面白いのとか。

 あとは音がやっぱり印象的ですな。戦闘機の音や銃声などはIMAXで体感するのがベストっす。マジで音を「体感」するぐらいでかいので。元々ノーランは実写主義というか即物主義というか「生」を重視する人ですから、大画面で大音量で見るのには向いているわな。

 音楽は相変わらずハンス・ジマー。空中戦のときにかかる音楽は緊張感のある本作にあって特段緊張感を煽ってきてグッジョブ。

 ストーリー的にはちょっと微妙な感じかな、しかし。舞台が同じではあるんですが群像劇として有機的に絡まっているようには思えませんのよね。バラバラに散逸した事実を並べたような感じがして、それぞれがそれぞれで勝手に解決していく(正確には「民間船舶による救出」という大きな流れに回収されていく構成ではあるのですが)ために、並列的に並べられても「うーん?」と首をかしげてしまう。無駄死にしたネビルっぽい不細工な子どもを新聞で英雄扱いするのも、真相を知っている客としてはどうも恥を晒し上げられているように思えてならんですし。直接の死因であるキリアン・マーフィー(ハイドリヒを撃てに続いてまたも「個」に焦点を当てた戦争映画に出てます)にもこれといって処理はしないし。

 で、中弛みする理由はなんなのかなーと思ったときに、この映画では人々の「心理的側面」が「行動」と解離しているせいなんじゃないかと思うんですよ。事実、ストーリーテリングの原則においては日付・時間・行動といった事実よりも感情や心理といった側面の方は興味を引きやすいとされている。その点において、今作で起用されている若年の兵士を演じるフィンくんは上手くない。というか、ノーランの撮り方が悪いような気がするんですよねー。これも、たとえば上手い役者が演技で感情を表現してくれていればもうちょっと中盤の中弛みも緩和できたような気がする。船でほかの連隊と亀裂が生じた場面も、フィンくんよりその連隊の連中の方が迫真でしたし。

 そのあとの救出の流れはすごいいいんですけど、やっぱりアクションが下手くそなんだよなーノーラン。せっかくの空中戦闘も実写主義のこだわりの弊害が出ているようにしか思えないような同じカットが冗長に繰り返されるばかりでグラフィカルに見せてくれない。あと最後の最後で敵の戦闘機が接近してきて大ピンチ!からの味方の戦闘機が撃墜してくれた場面、あれどうなってるのかよくわからんですよ。

 いや、場面的にわからないことはないんですが、いつの間にか撃墜されていたように見えるですよ。最後の騎士王のオプティマス落下からのいつの間にか変形していたような感じ。

 ダークナイトによって一気に評価を上げ、巨匠として扱われ大々的に宣伝されてはいるけれど、次世代のスピルバーグやらキューブリックやらと同じように扱うには今一歩爆発力が足りない気がするかなぁ。

 スピルバーグもBFGとかたまに変なことしますけどね。

 ここいらでダークナイトくらいの爆発を期待してるぞ、ノーラン(何様)