dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

散歩する侵略者

 えーなにげに黒沢清映画を劇場で体験するのは初なのですが、思った以上に大衆エンタメ路線で驚きました。とかいいつつ随所に黒沢清らしい気持ち悪さが見られるんですが。あと日テレ資本入ってるんですね、これ。

 

 ちょっと意外だったのは休日の昼前という時間帯なのに年齢層が高めだったことかしら。もうちょっと若い人が入ってると思ったんですけど、立地的な問題とかあるんだろうか。ていうか三連休最終日だからだろうか。みんな大好きな「愛」のお話なんですけどねー(笑)

 原作は劇団「イキウメ」率いる前川知大の舞台・小説ということらしいのですが、どちらもノータッチ。小説はせっかくだし読んでみたいんだけど、舞台ってどうにも見方がわからんのですよねぇ。

 大筋の話は「地球が静止する日」とか「寄生獣」にも似ている気がする。いやまあ「盗まれた街」とかほかにも乗っ取り系路線の映画もあるんだろうけど。あれらほど絵的なダイナミックさやグロ描写はないけど。とかいいつつ冒頭のタイトルが出るまでの一連のシーン(最高)は普通にグロなんだけど。あそこの、ていうか宇宙人が歩くテーマ曲(勝手に命名)がちょっと抜けてる感じなのがいいんですよねー。なのに背後では事故が起こっているのとか。

 何がいいってロードバディムービーとして最高なのよねーこれ。日常側に松田翔太宇宙人が現れ、一方で長谷川博己ジャーナリストと宇宙人二人のほうで話が進んでいくんですが、後者の方のやりとりがすんごいいいの。役者も全員いい。演技もそうなんだけど、特に宇宙人を演じる三人、とりわけ松田翔太高杉真宙の顔とか佇まいのちょっと浮世離れした感じ。恒松祐里も肉体を生かしたアクションとか冒頭の散歩のテーマで笑顔で歩いてくるのとかいいですねー。

 個人的には満島真之介も別タイプの宇宙人に見えたりする。ていうかあの人ってちょっとサイコっぽいよなー。とか思ってたら東出昌大も出てるし。この人もこの人で裏で何かやってそうな感じがあったりするんですが。

 んー、ともかく自分は長谷川博己ラインの話が本当にツボってしまって、彼の最期とかどっちなのかなーと思っていたんですけど、インタビューを読んでいると長谷川博己さんは「明け渡した」という解釈で演じていた感じなのかしら。

 ワンカットが長めの映画なんで役者も大変だったでしょうが、ともかく面白い映画でしたよい。

 証明の落とし方がどうーとか、相変わらず格子状の枠にガラスをはめたものとかカーテンがどうとか、謎のジャンプカットとか、なんてことのない場面をホラー演出したりとか、なんか普通に笑ってしまうところとか、まあ細かい部分を挙げたら枚挙に暇がない。

 大学の授業で初めて黒沢清「叫」を観たときは正直「うーんなんだこれ?」っていう感じではあったんですけど、それに比べると今回のはかなーりわかりやすい作りだすな。

パンフは900円とややお高めではありますが、ページ数的に仕方ないかな。インタビュー中心だったのですが、もうちょっとロケの写真とかセットの部屋とかカラーで大きく乗ってると良かったかもだぜ(謎なっち)

 

余談ですがこのあとスキップトレースも観に行く予定