dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

汚い1ダース

 原題「dirty dozen(ダーティ・ダズン)」の直訳。実際、劇中でもそう言われていましたが。邦題は「特攻大作戦」なんですが、言うほど特攻ではないというか、軽いネタバレといえばネタバレなタイトルではある。まあ銃器が出てくる映画で誰も死なないなんてことは基本的にないのでネタバレもクソもないっちゃないんですが。

 「スーサイド・スクワッド」の成功例と言えばわかりやすいでしょうか。悪人チームものとして欠点がまるでないとは言いませんが、そもそも12人を捌ききるのが困難なわけで、それを考えれば十二分な出来栄えと言えましょう。しかしまあ、そう考えるとやっぱり7人くらいがちょうどいい塩梅なのかもしれんですな。

 チームを率いるライズマン少佐をリー・マーヴィンが演じているのですが、カンバーバッチとちょっと似たタイプの顔でそこはかとない知性を窺わせつつ力強い役を見事に演じきっています。ほかにダーティー・ダズンのメンバーにはお馴染みチャールズ・ブロンソンや、彼らほど出ずっぱりではありませんが超高層プロフェッショナル以来顔を覚えたジョージ・ケネディと「ポセイドン・アドベンチャー」「ワイルド・バンチ」のアーネスト・ボーグナインがすごく楽しそうで萌ゆる。

 2時間半と最近の映画と比較するとやや長尺ではありますが、綺麗に3幕に分かれているのでかなり見やすいつくりになってます。最初の一時間を実刑を食らった兵士たちとの顔合わせおよび訓練に使い、さらに演習における訓練の成果を発揮しつつ結束力の向上を披露し、最後に高官暗殺任務という構成。

 頭の方でダズンたちを人物紹介しつつクレジットのために人物を画面右に配置したりする遊び心など観ていて純粋に楽しめますし手際がよいです。

 ほかにも髭剃りでお湯が使えないうんぬんかんぬんのくだりでチームの結束力が高まったことを示しつつ、直後に髭の伸び方で時間が経過したことを表現していたりとうまい具合にやってます。

 あとまあ娼婦をそこまでねっとりアップで撮る必要あるのかとか、大佐に問われて「ナンバー2(囚人番号とうんこの二重の意味があるんだろう)」と答えるところとかしっかり笑えます。

 それでもまだ12人をしっかり見せるには足りず、予算の都合か尺の都合か訓練シーンもそれぞれの人物の性格などを示すための機能は持っていても実際に訓練しているシーンはほとんどなく、やや説得力にかける部分は否めないかもしれません。まあ地獄の黙示録みたいなことになってもそれはそれで問題ありますし、カラッと楽しめる戦争映画という意味でこれは結構貴重だと思いますし。戦争を扱うと途端に重苦しくなってしまう中で、これはかなり陰鬱な空気をとっぱらっていますし。それゆえか、あっさりメンバーが画面外で死ぬというさばき方がされるのですが。

 個人的には1クールのドラマにしたら面白いだろうなーとは思うんですが。もしくは二部作か三部作にするとかインターミッションを挟む形式にすることでもっと詳しく描けたりしそうです。

 と思ったら20年近く後になってテレビ映画として続編(ダーティ・ヒーロー/地獄の勇者たち)が出ていたみたいですね。それどころか4まで出ているし。一応キャストにはマーヴィンとボーグナインも出ていますが・・・どうなんだろうか。