dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

試写から帰還

そういうわけで試写会に行ってまいりました。

で、何を見たかというと「アトミック・ブロンド」ですた。「The Coldest City」というグラフィックノベルという原作があるらしいのですがこちらは未読。

えーと、まだ未公開ということで万が一検索でこのサイトに引っかかってしまった哀れな人のために、ネタバレありとだけまえがきしておきますか。

 

 それと、もしこのブログを読んで見に行こうとする人がいれば(まあいないと思うけど)、公式サイトなりビラなりの人物相関図は確認しておいたほうがいいかもしれません。そうしないと、誰がどの陣営にいて何をしようとしているのかがわからなくなってきますから。それぞれのキャラクターの名前も日本人的にはどれがどれなのかわからなくなるとも思いますから。ええ、わたくしの理解力が乏しいだけですよ、はい。悪う御座いました。

最低限、東西冷戦のことを念頭に置いておかないとアレかも。といっても、ベルリンの壁あたりのことを理解しておけば問題ありませんが、結構頻繁に場所移動するので。

一つ面白い物語構造として、冒頭シャーリーズ・セロンの寒々しい入浴シーンから始まり、彼女がMI6の尋問から幕を開ける。しかもセロンの顔面はボロボロ。いったいどういうことなのか、と思えば尋問の中でセロンが尋問に答えていきながら起こったことを時系列的に追っていくという構造になっています。で、最後にどんでん返しが待っているわけです。たしかに、ジョン・グッドマンという配役は絶妙だと思う。あのラストを考えると。

シャーリーズ・セロンはモデル出身だけあって手足は長いは顔は怖いわでこの役柄にピッタリ。まあ別に特段彼女は好きでもないんだけど、やっぱり映えますわこの人。脇を固める役者にはガゼルたんことソフィア・ブテラ(AV女優の高橋しょう子に似ている気がする)やマカヴォイといった今をときめく俳優陣。ブテラのレズ艶とかマカヴォイのザコ敵っぽさの中に垣間見える不安定さやしたたかさとかよろしいですよ。マカヴォイはああいう多層的なキャラクターを演じさせるとピカイチですな。トビー・ジョーンズはあれか、ドイツが絡まない映画には出れない縛りでもあるのか(笑)

 前の方で相関図があーだこーだ言いましたが、やってることは「ブリッジ・オブ・スパイ」と同じです。あちらは政治的駆け引きと会話劇を巧みな演出力で現実的に描いた作品でしたが、こちらは計算された抜群のアクションで見せる非現実的な映画です。あ、でも「アトミック~」は要人(情報)回収に失敗しているな。まあ最後まで見ればわかるが、そこが最終的な目的ではないので構わないのですが。

ジョン・ウィック組の作品ということもあって暗い色調のネオンがずっと画面を覆っているんですけど、これは非現実感を増幅させるとともに後期の冷戦を背景にしていることも理由にあるんじゃないかなーと。あとMGSぽくもあるかなと。何がとは言えんけど、なんとなく。アトミック要素かな。

80の曲がかなりかかるのは予告編からもわかっていたんですけど、最近の映画は80S流すのが流行ってるのだろうか。ガーディアンズしかりスースクしかり、SINGなんかモロですし。どれもちゃんと意味合いがあって、しかもほとんどかぶらないっていうのは当時のヒットソングの層の厚さを感じさせますな。

で、やっぱり白眉は公式サイトにも記載がありますが中後半あたりのマンションの階段における七分半のワンカット戦闘シーンでしょうな。ここは半端ないです。デジタル撮影なのか「ラ・ラ・ランド」みたいにガチで一発撮りなのかはまだわかりませんが、ともかくこのひと続きのシーンはその幕引きも相まって緊張感からの「タスケラレナカッタ・・・」喪失感がすごいです。あの人、悪い人じゃないだけにねー。

ちょいちょい「仮にも間諜なのにそれってどうなのよ?」と思わないでもない部分もありますが、アクションが楽しくておまけ(ってほど微々たる要素でもないが)でスパイサスペンス要素もある映画なんで、普通に楽しめるんじゃないかしら。IMAXでもう一回くらいちゃんと観てもいいかなー。でもアウトレイジも控えてるしなー。

 

ちなみにセロン演じるロレインはバイセク設定ぽいのでソフィアとのまぐわいがあるしセロンは普通に裸晒してるしで露出度が高い映画でもあります。わたしとしては「スプリット」並にマカヴォイの裸も期待してたんですがね。