dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

アウトレイジ最終章(と録画消化録)

アウトレイジ面白かったよーイェイ。

で、その前に録画で観たものにも軽く触れておこうかと思います。

まず「ネイビーシールズ:オペレーションZ」。ワールドウォーZと同じでZの示すとおりゾンビ映画です。うん、まあタイトル以上のものが出るということはないんですけれど、92分という短くまとまった小品としてはまあまあかなと。それでも長く感じる部分がなくもないんだけど、ながら見するには割と最適なのかもしれない。チープな部分もあるし目新しいところがあるというわけではない(運転するゾンビは割と笑えました)んですけど、なにか色々とゾンビの可能性を模索しようとして考えなしに詰め込んでみて悉く失敗しているような愛嬌があってそんなに嫌いではなかったりする。ながら見しつつ、ちょっとしたポイントとかで「おっ」って思う絵ヅラを楽しめればいいかと。

次は「ザ・ロック」。ベイの作品で、相変わらず爆発する。ただ、もはやルーティーンと化したトランスフォーマーシリーズに比べるとピタゴラスイッチな破壊表現は観ていて楽しい。路面電車のところとか。あとショーン・コネリー出てるから、それで結構十分楽しめる。あと吹き替えで見るのがいいかなーと思う。なんでって加藤精三の声が久々に聞けたからとか、ほかにもおっさん・おじさん声優がてんこ盛りなんで。

最後は「荒野の七人」。今更とやかく言うつもりはなく、単純に楽しい作品。七人の侍のエッセンスを短くまとめてエンタメ特化として作った西部劇映画。スティーブ・マックイーンチャールズ・ブロンソンジェームズ・コバーンといった俳優たちの活躍が見れますし、原作にはなかった子供たちとのやり取りとかもあって普通に楽しめる作品になっている。マグニフィセントセブンはこの作品の正式なアップデートって感じで良かったですが、こちらのほうが幾分かテンポが良い気がする。BSでカットされていたからかな。

 

 

では本題の「アウトレイジ 最終章」。ふっつーにネタバレしますのでご承知を。

公開前のメディア展開からもかなり大衆向けにして盛り上げていたのは知っていましたが、わかりやすいエンタメになっていながら前作までにはなかったたけし節がより感じられる作品になっていました。

まず全体的に画面がブルー。アウトレイジシリーズは初期のたけし作品に比べると画面はそこまで色合いが青々しくなかったように思えるんですが、本作はしょっぱなからブルーです。パンフレットの写真と見比べるとどれだけ青くしているのかがわかりますですよ。

あとやっぱりカメラワークがすごい独特。パンの仕方とか、カット割らないのとかすごい独特。

話はシンプルですが、群像劇としてそれぞれの人物たちの思惑と行動がしっかりと結びついていて物語の推進力になっているのはさすが。ある人物の行動が別の人物の行動を誘発していくので自然と話を運んでいくのがクールですよねー。

色々な媒体でも言及していましたが、劇中で描かれているのは実社会のやりとり・構造を転写したものですから、誰しもが楽しめるというのはそのとおりだと思います。

えー今回は西田敏行演じる西野が前作の小日向演じる片岡の役割を少しになっていて、出番が多くなっている。その分セリフも多ですが罵倒とか仕草とか笑える箇所がかなり多くなっています。それと塩見三省演じる中田も西野と花田(ピエール瀧)と野村(大杉漣)の橋渡しとなっているので出番セリフともに多いのですが、この両名は病体だったためにぶっちゃけ前作の勢いが結構なくなっているのが惜しい。特に塩見三省は前作で声張って怒鳴りちらしていたので、今作では声がかなり弱々しくなっていたのが仕方ないとはいえ口惜しいですな。

ピエール瀧の変態でマゾでだらしない肉体を晒すしょーもないヤクザや、岸部一徳の腹の底が見えない部下とかフィクサーの張を演じる金田とか山王会のぼんくらなりにそれぞれ考えているのとか、それぞれに言及していると結構面倒なくらいいい連中がいますね。

ただ、今回の騒動のきっかけとなった花田や暗躍した西野が普通に昇進しているのが人によっては「えー」となる部分かも。「たけしは花田を殺さずに自殺しちゃっていいのかよー」と。わたくし自身はたけしーーっていうか大友のボスである帳が話をつけてしまった以上、これ以上の迷惑はかけられないという部分と、それでもせめて舎弟の敵はということでケリをつけるというのは納得のいく部分でもあります。それに、実際に騒動の元凶がのうのうと生き残るというのは実社会でも全然あることでしょうから、不自然なことではないし。

暴力表現はやや減ったものの楽しい惨殺シーンもありますし、出所祝いのところか笑いながらも幻想的な仕上がりになっているので良いのでは。

 

 

あとパンフレットも良かったです。オフィス北野の制作体制だからこそのパンフに掲載されているであろうプロデューサーインタビュや音楽や音響を担当した鈴木慶一と柴崎憲治がどこをどのように音の使い方を意識していたのかとか、普通のパンフレットにはあまりないような内容が載っていたりして、かなり充実しています。通常よりも100円高いですが前二作の総括だったり最終章に関する三浦友和へのインタビューだったり内容は充実していますので、観たあとで「そういえば前作のあいつらってどんなんだったっけ」「劇中に出てる人の前回までの立ち位置とかって?」となっているのでオヌヌメ。あとあと、中原昌也氏のレビューも中々私的かつ詩的(そのくせちゃっかり分析してみせているのが笑える)なので「最終章面白いけどドライすぎ〜」と思ったかたはウェット成分を氏のレビューから摂取するが吉。

 

たけしの次回作は自身の処女作である「アナログ」の映画化を考えているようですが、アウトレイジのシリーズとしても張会長の成り上がりとか大友の過去話とかもできるなーとか言っていたので、それはそれで観てみたいかもです。