dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

直球度ストレートの変化球

ある愛の詩

 やーすごい。なにがすごいって、ベタベタなメロドラマすぎてすごい。公開されたのが70年らしいんですが、大林宣彦曰く当時からしてすでに「時代錯誤の純愛もの」と言っていたくらいですから、今見てもそれはそれはベタベタです。

 何せ偉大な親の七光りに悶々とするハーバード大学生のイケメンが、それなり貧民の女の子との口喧嘩から恋に発展するという。まったくもってどうしようもない。

 その、どうしようもないのだが面白い。父親から勘当されてからジェニファーの死期が近いことが発覚するまでの流れとか、絶妙にプロットが上手い。うんにゃ、とはいいつつ父親とオリバーのディナーのところはもうちょっとうまくできそうな気もしなくもないですが、最初から父親への反感はありましたから、そこはまあいいか。

 恋空と似たような形式ではあるのですが、何がどうしてここまで違ってしまうのか。監督の力量というか原作の力がそもそも段違いなんで、比較するのが間違いなのかもしれない。横書きってことは共通してるか。

 しかし、わたくしめがこの映画で一番楽しめたのは何を隠そうアリ・マッグローの衣装ですよ!ラ・ラ・ランドほどあからさまで原色を押し出す大胆さとは違って(いやあれも好きなんですが)、庶民的なのがいい。それがチェックで統一されているんですがカラバリがあるのとか、すごい庶民はファッションというか俗な感じがたまらん。

あとメガネをつけているほうが可愛いという正真正銘のメガネ女子だということをこの作品で気づいた気がする。アリ・マッグローとかこれまで全然知りませんでしたし澤穂希っぽいし全然好みの顔ではないんですけど、メガネ+図書館の受付がここまでハマる女優もそんなにいないんじゃなかろうか。

イエスマンのズーイーほどではないにしろ、かなりファッション映画としての質は高いような気がする。