dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

夢想を抱いて溺死した男

というよりは、夢想そのものに溺死したと言うべきか。溺死っていうか、ほとんど縊死に近い気もするけど。

リュック・ベッソンというとロリコンという印象が強い(近作はそういう臭いはしないとはいえ)のだけれど、それは「レオン」とか「フィフス・エレメント」とか日本人なら「WASABI」のせいであることは間違いない。

まあ、ロリコンというよりはベッソンなりの女性像というものを描いているのだろう。

別にそこまでベッソンは好きではないんですけど、かといって嫌いなわけでもないしむしろ「レオン」で謎のTFシーンを挿入してくるあたり好感を持っていたりする(アメリカ向けの打算なのかもしれないけれど)わけですが、今回見た「グラン・ブルー」に関してはそこそこ、といったところでせうか。

 

白状すると、そこまでちゃんと見ていたわけではなかったんですが、それでもまあ当時の本国のハイティーンが熱狂する理由もわからなくはない。

だってこれ「夢に生きる」もとい「夢に死ぬ」ことを、かなーり幻想的に描いているように見えるんですもの。

現実としてのジョアンナ・ベイカーとの地上のまぐわいのテキトーさに対して、夢想としての海中におけるイルカとのまぐわいの注力ぶりを見れば、ジャック(とエンゾもそうか)の中で夢想>現実であることは明らかですが、それをほとんど全肯定に近いレベルで最後まで描ききっているのがすんごい。

それと寝室における天井のあの海が近づいてくる描写ってどうやってるんだろうか。88年ならCGもそれなりに出来上がりつつあるんだろうけれど、どちらかというと水の中に絵の具を落として爆炎に見せるような、あっちの特撮技術を使っていそうな感じもする。それはともかく、あのシーン滅茶苦茶好きだなぁ。「運命のボタン」でも似たようなベッド+水のシーンがあったことを思い出したりしたんですが、こっちも含めてどうもわたすはこの組み合わせが好きみたいだ。理由はよくわからんのですけど、もしかするとベッドから夢の世界を連想したりするからかもです。

わたし、寝るときによく水の底に沈んでいく自分をイメージすることがあるんで、何かこう、ベッド+水というものに親和性というか親近感を覚えるのかも。

 

それと、これは完全に余談かつ推測なんだけど、奈須きのこはこの映画かからインスピレーション受けてそうだなーと思った。このエントリのタイトルとか「DDD」のカイエの部屋の構造とかまんま上のシーンとダブるし。

 

謎の日本ディスとかところどころにある笑えそうであまり笑えない(ブラックだからとかではなく、単純に面白くないからなのですが)笑かしシーンがあるんですけど、ああいうのとかbgmの感じとか一昔前の邦画っぽい気がするなぁ。気のせいだろうか。

 

そういえばベッソンの新作「ヴァレリアン」は気になっているんだけれど、滅茶苦茶コケてヨーロッパコープの株が下がったらしい・・・近所のシネコンでかかるかどうか微妙なところだなぁ。