ところがどっこい、痛い目みたのは彼ではありませんでした。
ジョン・ヒューストンの「マルタの鷹」
エントリの題名は主人公のサム・スペードに対する劇中のある人物の発言なのですが、自分にとってはかなり警句に聞こえてしまったのでついつい記事の見出しに使ってしまいました。
ほかにも「2度もぼくを殴るなんて!」というセリフとか、実はガンダムの元ネタはここからあったりするんじゃないか、とかどうでもいいことを考えてしまうセリフがあったりしたんですが、それはさておき本編について。
フィルムノワールの古典とされているらしい本作ですが、地味にミステリー要素もあったりする。しかも、物語の本筋としてはそのミステリー要素は比較的どうでもいいというか脇に置かれているというか、そちらに言及することなく物語が進行していくという構造になっている。だのに、オチの部分はそこが重要な要素に(それ自体が、というよりはそれによって裏打ちされるある人物の人間性か)なっているという。
ミステリーとかサスペンスとかはあまり見ないし読まないんですが、ノワールは割と好きな自分。しかし、ノワールって何をどうもってノワールなのかという気がする。これがノワールというのは、要するに最後の最後の部分だと思うのですが、それ以外はハードボイルドとして見ることはできてもそこまでノワールという気はしないんですよね。
色調とか影といった撮影の仕方は確かにそう感じますけど。しかしそういうジャンルというかカテゴリー論を体系的に語れるほどではないので、この辺にしておこう。
小説原作ということで映画に置き換える際のコンバートは結構上手いんじゃないかと思う。前半のテンポがあまりに軽快なためにマイルズというキャラクターとスペードの関係が少々「え、お前そんな感じに思ってたのか」と思わなくもないのですが、終わり良ければすべて良しといった言葉もありますから、最後にかっこよく締めることができればいいんですな。ハードボイルドだし。
ラストのエレベーターの格子は明らかに牢屋のソレ