dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

ウェインとフォードとep8

週末に劇場で見たり録画を見たりしてたので、それについてのまとめをば。

エントリのタイトルだけからだとかなり重い作品があるし、それぞれ個別に記事をまとめてもいいとは思うんだけれど・・・特に「ダークナイト」は色々と思うところがあったし。それでも「とりあえず」ということで一緒くたに備忘録的に書いておくことにする。

 

まずはジョン・フォードの「捜索者」

ウィッキーさんに情報が充実しているので、ほとんどそれを読んでしまえばこの作品についてのことは大体わかってしまうのですが、自分のこの映画の見方がジョン・フォードの考えと大体一致していたので、そこまで言及することもないかなと。

これは家族の物語だということ。

戦争は直接描かず、しかし確実に戦争によって何かを狂わされてしまった男の話として、この「捜索者」はあるんじゃないかということ。第二次大戦の参加者としての視線が確実に入っているはず。

「捜索者」におけるジョン・ウェインは「大いなる西部」におけるグレゴリー・ペッグのダークサイド・・・と言ってしまうとかなり自分の伝えたいこととはかけ離れてしまう。対の存在とかそういうのではなく、暗黒進化というべきか。そもそも双方ともに南北戦争の生還者ではあっても、個人としての人間の捉え方の側面が違うので単純な二項対立はできないのですが。

しかし、そう来るとやはり「大いなる西部」におけるパックがなんともやるせないなーとしみじみ思う。彼は戦争を知らない(というよりは性格上、積極的に避けてきたはず)人間であるものの、自身の虚栄心からイキる。けれどもやっぱり、その性質から卑怯な雑魚としてしか在り得なかったのだから。ジョン・ウェインにもグレゴリー・ペッグにもなれなかったどうしようもない塵芥。

そんなわけで、自分は「大いなる西部」と横に並べてこれを観ていた。

あとは風景というかモニュメント・バレーの撮り方がすごい印象的というか見ている間に不思議と胸にくる感覚があったなーとか。

それと、なんとなく序盤の家族を写し取るシーンのカメラの配置がすごい「家族ゲーム」の家族の切り取り方を想起させたんですけど、森田芳光監督はここを参考にしていたりするのだろうか。「家族ゲーム」の細かい部分は覚えていないんですけど、家族の物語だし、ある家族への闖入者として括れば松田優作ジョン・ウェインをつなぐこともできそうではある。まあ、これは極めて私的な指摘なんですが、筒井御代も「自分が狙って書いた以上のことを読者が読み取ったのならそれこそ云々」と仰ってたとか仰ってなかったとか風の噂で聞いたような気がしたので、深読みされることはクリエイターにとって御の字なのだろうから、こういう深読みもといこじつけも十分アリなのだろう(適当)。

 

ep8については、そもそもswにそこまでの思い入れがないので、すごく表層的なものになってしまうというか。みんなみたいにやいのやいの言えないのが少し残念だったりもしますな。模範的映画ファンにとってのスターウォーズが自分にとってはトランスフォーマーという、ある種の不幸というか(自分はそれも含めてtf大好きなんですが)、すでにからして半笑いで済まされる立場にあるわけで、鬱屈とした思いがswに対してなくもないんですが・・・。第一にtfを追っている人は映画ファンじゃないとか色々あるんですが、それは脇に押しやってep8について。

 

すでに述べたとおりスターウォーズに大して思い入れがない自分は、粗もそこまで気にならない分、普通に楽しめましたでござい。もちろん、みんなが言うとおり「ローズかわいくないなー」とか「結果論として牢屋に入れられただけなのに、それでいいのか」とか「吹っ飛んだ直後まで間近にいたのにやたら遠くから歩いてくるな」とか「修行感ないな」とか「そんな作戦があるなら先に言っとけばいいのに(これに関しては、冒頭でポーがやらかしているので、それを憂慮して黙っていたのでしょうが、そもそもファンとしてはポーのやらかしがどうなのと思うのでしょう)」とか「そんな堂々と密集して逃げたら撃墜されるだろうに、どうしてそんなに余裕しゃきしゃきなのよレイア」とか(思ったら案の定やられてるし)とか、スノークの成金バスローブとか不意打ちとか「君らはスノークを守るためにいるのに殺されたあとに動き出してどうすんの」とか色々あるんですけれども。

それでもアガる場面は多い。

ひとつはなんといってもカイロ・レン。ちなみに言っておきますが、みんながep7のときにレイやフィンやポーを推しているときに、自分は一貫してカイロ・レンことベン・ソロくんを推していましたよ、ええ。ネタ的にも一人のキャラクターとしても。それがどうしたことか、みんなep8で「アダム・ドライバーよかったねー」とか言い出してるのがちょっと不服。こちとらおめーらがおもちゃにしてたレンくんのことが2年前から一番好きだったんだよゴラァと言いたい気持ちもある。なんかね、アダム・ドライバーが今年(去年も含め)に色々な作品に出て成長したからep8におけるアダム・ドライバーの演技を称賛してる人がいますけどね、それは順序が逆なんだとep7からのレンくんひいてはアダム・ドライバー推しの自分は言いたい。

それはいいんですが、やっぱりレンくんが持つ本来の複雑な内面を見事にアダムは演じきってくれていると思います。ep8の予告が出たときからあの顔つきに「おや?」と思ってましたが、我が意を得たりといった感じ。

本作では数少ないライト・セーバー戦もかなり荒々しい感じになっていて、そこも個人的には好感触。セーバーの使い方も工夫が凝らされていましたしね。もちろん、ジョン・ウィックとかアトミック・ブロンドみたいなスタイリッシュかつ生臭いっていうワンカットのような美しさとかはありませんが、それでもやっぱりアクションの見せ方が上手いと思うのは、今上げた二つのような長いワンシーンでなくともカットの割り方やタイミングなどが適切に作用しているために違和感がないということ。96時間とか、じゃない方のイップマンとか酷いですからね。

あと、スノークの部屋のデザインとかレンくんとルークがやり合う星の色彩設定はかなり関心しました。塩の下の血のような地というのは中々絵的にも見ごたえがあっていいですよね。雨宮監督のハカイダーのラストバトルもこんな感じでしたね、そういえば。

あとはルーク関連はまあ、確かに文句が出るのもわかる感じはしますが最後の戦いでちょっと許せちゃうくらいのスターウォーズへの思い入れなので、あれはあれでアリかなと思います。

あとハイパースペースの突撃の瞬間のカット。あそこは本当に良い。細かい部分を除けばあそこは滾りますです。ハイパースペースって、てっきりワープみたいに空間をてんで繋いでるのかと思ってたので、やや違和感はありましたが。

とまあ、ep8についてはこんなとこでしょうか。映画を趣味にしている人にとっての祭事みたなものなので次も当然見に行きますが、どうやってケリをつけるのか気になるところ。

 

あとようやくダークナイトも見たんですけど、もう一度ちゃんと見たい気がするのでダークナイトに関しては別の記事で書こうかしら、と。

とりあえずダークナイトに関してはノーランで一番好きだと思う。ていうか単純に飽きないし。