dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

リバイバル上映とかプロミスとか

インターステラー」のリバイバルがやっていたので観に行ったり「チョコレートドーナツ」を観たり、今日は「THE PROMISE~君への誓い~」を観に行ったり、録画してた「ヴァージン・スーサイズ」を観たりしてました。

 

インターステラー」も「チョコレートドーナツ」も既に観たことのあったやつなんで今更何かを書き加えるってことはないんですけど、「インターステラー」はリアルタイムで観たときよりもその色々な意味での上手さが実はあったのだなーというのが。

上手さ、というか、脚本とか尺の都合をうまく映像の表現で違和感なく見せていたり。だってね、マコノヒーがNASAを見つけてからロケットに乗るまでのインターバルすごい短いんですよ、マジで。普通は訓練とかをモンタージュなりなんなりで見せたりしますが、そこはあえてオミットしてテンポアップさせている。で、このテンポアップの仕方が割と強引というか勢いでつないでいるんですが、マコノヒーが車でNASAに向かっていくのとジマーの音楽で感情的な昂ぶりを優先して、そこに打ち上げのカウントダウンを重ね合わせることでエモーションが極大になったところで打ち上げということをやっていて、まあうまく端折っているな、と。

あとマン博士と合流したところで、まだ彼の正体が暴かれていない時点で、カメラの画角というか、マコノヒーとハサウェイにカメラの水平を合わせていて、マン博士っていうかマット・デイモンがその宇宙船と合わせて傾いているように見せているんですよね。要するに、実はマン博士が歪み・・・というかまあ、ズレ始めていることを暗示しているわけですな。まあ、ここは推測に過ぎないんですけど、「ダークナイト」の人体模型フェイスの彼のオフィスの本棚にそういった意味を託していたことを考えるとあながち間違いでもないような気もする。

「チョコレートドーナツ」はまあ、泣くよね、という感じ。

 

で「THE PROMISE」を観てきたわけです。

アルメニア人のジェノサイドを描いた映画ということで、まあ政治的なあれこれもあったりするのか公開館数もそんなに多くなく、東京でも6館しかかかっていない始末。ま、幸いなことに近所の映画館にかかっていたのでわたくしは観ることができましたが、祝日の昼にしては座席はガバガバですし年齢層もかなり高めでしたねぇ。 

 

あらすじ

1914年の南トルコ。トルコ人アルメニア人が共存して暮らす村シルーンで育ったアルメニア青年のミカエル(オスカー・アイザック)は、本格的な医療を学ぶために裕福な家の娘マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約。マラルの持参金を学資にして、オスマン帝国の首都コンスタンチノープルの帝国医科大学に入学する。

ミカエルはコンスタンチノープルで商人をしている父の従弟メスロブ(イガル・ノール)の邸宅に下宿する。新生活に期待と夢を膨らませ、大学で出会った大物政治家の息子エムレ(マルワン・ケンザリ)や、メスロブの娘の家庭教師アナ(シャルロット・ルボン)と友人になる。ヨーロッパ育ちでパリから帰国したばかりというアナに洗練と都会の香りを感じ、憧れを抱くミカエル。一方、アルメニア人の父親を亡くしたアナは、父の故郷と同じ地方からやってきたミカエルに親近感を抱いた。ミカエルは、アナの恋人でアメリカ人ジャーナリストのクリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベイル)に紹介される。通信社の記者として働くクリスは、戦争が近づいているキナ臭さとトルコに急接近するドイツの危険性を感じていた。ミカエルたちはエムレの豪勢な誕生パーティーに招かれるが、酔って現れたクリスは招待客のドイツ人たちを罵倒して騒ぎを起こしてしまう。第一次世界大戦が始まりトルコも参戦。ミカエルにも徴兵の招集がかかる。ミカエルは医学生として徴兵免除を申請するが、アルメニア人だからと受け付けてもらえない。問答無用で戦地に送られそうになったミカエルを、エムレが役人に賄賂をつかませて救ってくれた。

戦意高揚とともに国内ではトルコ人民族主義が高まり、アルメニア人への差別と弾圧が横行し始める。トルコ中部を取材に訪れたクリスは軍によって住処を追われたアルメニア人の集団を目撃。抵抗した者は処刑され、さらし者にされていた。

一方ミカエルとアナは、アルメニア人を狙う暴徒の群れと遭遇。ミカエルも襲われて怪我を負い、アナと一緒に近くのホテルに避難。同じ部屋で過ごすことになる。お互いへの想いがあふれた二人は、その晩に初めて結ばれる。

同じ頃、メスロブがいわれのない反逆罪で逮捕されていた。ミカエルはエムレに助けを求め、刑務所に駆けつけるが、メスロブの父に見とがめられて拘束されてしまう。コンスタンチノープルに戻って来たクリスは、アナの心がミカエルに向いていることに気づきながら、アルメニア人弾圧の事実を世界に伝えようとしていた。

 

以上があらすじになります。

歴史は赤点が常だったわたしは、第一次大戦の勢力図的なことには割とうといのですが、トルコと日本(あとアメリカ)が現在のところ政治的に結び付きが強いということはまあ知っています。

 

えー、とりあえず言及しておきたいことがありましてね、カメオ程度の出番しかないジャン・レノをパンフレットの主要キャストに入れるくらいならエムレ役のマルワン・ケンザリを載せてあげてよ、と。

だってね、彼は一つの正しさを示して殺されたわけですよ。劇中の役どころとしても、マルワン自体の演技も良かったんですから(自分でアメリカ大使館に送った手紙を上官から読まされるときの手の震えとか声の調子とかさー)、数秒顔出ししただけのジャン・レノにインク使ってやるなよ東急レクリエーションさん。いや別にジャン・レノは嫌いじゃないっていうか、「鬼武者3」以来彼にはどちらかというと好意を持っていますがね、ここはマルワンに譲るべきでしょう。せっかく、この映画で「正しさ」を描いているのに、肝心の作品パンフでそういうパワーゲームを邪推させるような体裁にするのってどうなのでしょう。

 

とまあ余談はさておき本編についてどうだったのか。

基本的には主要三人の物語ではあるのですが、その三人(ミカエル、アナ、クリス)は実在の人物ではなく、実際の出来事の中にフィクション=物語としての人間を作り上げたというわけです。もっとも、クリスに関しては事件当時オスマン帝国で仕事をしていたジャーナリスト数人をかけあわせたキャラクターらしいですが。

一方で、そのクリスを救おうと動くモーゲンソー米国大使とオスマンの先導者の一人が劇中で交わすやりとりなんかはモーゲンソーその人の自叙伝からの引用で、実際にあったことだったりと、虚実のバランスが非常に巧みになっている。

そのへんのバランス感覚は非常に上手いと思う。

けれど、実際にミカエルやアナのように過酷な経験をした人、つまり親族を皆殺しにされ追いやられた人はいたのだと考えると、わたしがためた涙は必ずしも架空のキャラクターにだけ向けられたものではないのだろう。

わたしは決して、これが歴史的な傑作であるとは言わない。

けれど、観る価値のある映画だとは思う。

 

 

 で、「THE PROMISE~」を観てげっそりしたあとに観た「ヴァージン・スーサイズ」はすごいポエティックで困った。ていうか自分が観たソフィア・コッポラの映画って、どれもこれも題材からしてかなりポエティックなものをポエティックそのまま押し出している感じがあって、別に好きでも嫌いもでないんですけどイマイチ乗れないんですよね。「ロスト・イン~」はビル・マーレイと若きスカヨハの肉体感でまあなんとなく観れた感じでしたが、「ヴァージン・スーサイズ」に関してはなんていうかこう、

 

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        >   そうなんだ、すごいね!      <
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って感じなんですよね。

ただ、今度の新作は割とどろどろしそうで面白そうではある。しかしダンストはあれですね、このときからビッチな感じの役をやっていたんですね・・・。今度のでもそんな感じなのかどうか。