dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

3月のまとめ

まとめと表して全然まとめにもなってない、どころか頻繁にまとめるのもどうかということで、今度からは「今月のまとめ」と題してまとめていくことにしました。

あと映画じゃないけどドキュメンタリーとか気になった映像なんかもこっちでちょいちょい触れていけたらいいかなぁ。

 

「グローリー」

エドワード・ズウィックってことで一応チェック。ていうかズウィックって30年選手だったんですね。ストーリーはウィキペディアにネタバレとかそういうレベルじゃなくて最初から最後まで書いてあるのでここで書く事でもないんですが。

まあ30年も映画監督やってるだけあってそれなりの数の映画を撮っているんですが、その殆どは見ていない。なのでわたしが観た数本で判断するのもあれなのですが、この人はジャックリーチャー以外の大抵の映画は実際の歴史とか文化とか、あるいは麻薬の流れとかそういったソーシャルなモチーフを軸に、個人の視点から倫理や正義といったものを訴えるような作品が多い気がする。

グローリーは南北戦争における黒人部隊とそれを率いる白人大佐の、ヒューマンドラマというか友情物語というか。ショー大佐の分裂症と思えるほどの唐突なスパルタ指導はやや違和感もあったんですが、冒頭で示されるように彼は戦場を知っているがためにとった行動であると考えれば違和感はない。

デンゼル・ワシントンモーガン・フリーマンの共演ってことで、アフリカ系の俳優の中ではかなり好きな部類に入る二人だけに、それだけで十分といえば十分ですかな、個人的には。しかしこの作品で跳ねっ返りを演じていたデンゼルが「イコライザー」であんな落ち着いた殺人マシーンを演じているというのも面白い。

 

インファナル・アフェア無間序曲」「インファナル・アフェア終極無間

ハゲの解説にほぼ同意。

しかしアンソニー・ウォンがやっぱりいいなぁ。イケメンよりな古田新太っぽいんだけど、古田新太ほどにはふてぶてしさとかイヤミがないのがすごい好きだ。

ただこう、なんていうかこのシリーズに一貫していることで、むしろそこがこの作品の魅力であることは承知しつつも、あまりに湿っぽすぎてどうにも乗れないのである。

まあ1作目で死んだアンソニー・ウォンが時系列的な工夫によって出ずっぱりだったのは良かった。

 

「リトルプリンス 星の王子様」

色彩設計が露骨で笑う。町並みもわざわざ俯瞰で見せるんだけれど、画一化されたサバービアだったりグレーで統一されていたり。主役の女の子も最初はグレーの服装だし。後半の夢の国というか大人のビルの惑星(このビルの惑星とそこを飛行するときのBGMが結構好きだったりする)なんか、もう露骨すぎて逆に笑えてくる。

じい様と触れ合うようになってからの服装の色味の違いも露骨だったし、外からだと寂れたように見える爺様の家が極彩色だったり。 

「モダンタイムス」風味の物語賛歌、といえばいいでしょうか。後半の歯車の向こう側の世界なんか、ほとんどモロ。

テーマも含めて好きか嫌いがで言えば好きなんだけれど、どうもこの作品のあり方自体がどちらかというと優等生な作りになっているせいで微妙に乗り切れないのが。

この映画からは強い欲動というか思いみたいなものが立ち現れてこないんですよね。もっとソーシャルな義務感的正義といえばいいのだろうか。こういうのって、もっと体制に対する怒りみたいなものがあったほうが乗りやすいんですが、どうにも優等生すぎるのがなぁ。

まあ良い映画といえば良い映画ではあるのですが・・・

あと主役の女の子が可愛い。

 

ミニミニ大作戦(2003)」

一昔前のアクション映画を観ているようだ…。実際15年前なので一昔前の映画と言えなくもないのですが。

今見ると役者がすごい豪華。マーク・ウォルバーグ、シャーリーズ・セロン、ステイサム、エドワード・ノートン(たまにゲイリー・オールドマンがかぶる)、冒頭で退場するとはいえドナルド・サザーランドも出てるし。

しかも笑える要素を盛り込みながら手堅い作りになっていて、リメイクとしてはなかなかいい感じ。ミニクーパーでカーチェイスというのも絵ヅラが可愛いし。

少なくともダメダメリメイクされた「バニシングイン60」よりかなりうまい具合に収まってる。しかしハゲなのにモテるというあのギャグを成立させるステイサムのバイタリティは凄まじいものがありますね。

監督は最近だと「ワイルドスピード:アイスブレイク」とかやってるし、カーアクションは結構得意なのかな。

 

「プレイス・インザ・ハート」

 大恐慌時代のテキサスの話。最後のシーンで泣いた。

冒頭でいきなり警官が酔った黒人少年に射殺され、その黒人少年は引き回しで殺され、としょっぱなからバイオレントなんですが、むしろ焦点はその警官の妻の話になるという。この時代の未亡人となった女性がどう生き残るのか、という部分。

はっきり努力の物語ではある。そこに黒人やら盲目の人やら、阻害されたものが一致団結してサバイブするという話で、涙ぐましい。綿の収穫ってあんなに出血するのはまったく知らなかったんですが、本当にあんなに大変なのだろうか。

よく考えたらハッピーエンドとは言い難いのですが、専業主婦という軛に繋がれた女性について考えると、やっぱり大変なんだよなーと。今とじゃ比較にはなりませんが。

あとKKKが露骨に出てきたのを観るのは実写映画では初めてかもしれない。

 

「ゴースト ニューヨークの幻

 改めて観ると結構印象が違っていたのでとりあえず書いておくことに。

まず幽霊という霊体のおかしみみたいなものをしっかりと映像化している部分が好印象だった。生きてる人間とすれ違うときに体内というか物質の構造が見えてしまう(そういう描写だよね…?)のとか。もっとコテコテな恋愛ものって印象が刷り込まれていたけれど、実際はもっとサスペンスな要素があったりゴールドバーグの出番がかなり多かったり霊能力特訓描写とか少年漫画的要素がたくさんあった。

前に観たのがかなーり昔というのもあったけど、改めて見返すと結構面白い。これは男女問わず楽しめるんじゃないかしら。

地味にSFXも良い感じ。

 

 

十戒

実は少し前にも録画して後から見ようとしていたものの、長くて断念していた。まあ見直しても長い。220分って。この時期、というか昔の映画でも4時間近くのものといえば「七人の侍」なんかもありますが、こっちの集中力も考えて欲しい。

聖書なんてまともに読んだことないのでどこからどこまでが原作に忠実なのかとかわかりませんが、ひたすら豪勢な画面でしたな、と。

煌びやかな衣装とか尋常ならざるキャストの量とか、ともかく量が半端ないです。しかしヘストンのイケイケドンドンぷりはすごいですな。晩年はマイケル・ムーアにディスられたりとかありましたけど。「ベン・ハー」にも出てるからちょっと被ったりもしますが、それだけのスター性を持っていたということでもあるのでしょう。

 話自体は正直なところヨブ記からの印象である「神ってやっぱりクソじゃん!」を再認識する感じなのですが、セット丸出しとはいえ色々な場面が出てきたり衣装がコロコロ変わったりと、金かかってることがひしひし伝わってくる。

ただ白眉といえるモーセの海割りと炎のSFXはかなり迫力あります。まあ合成丸出しな部分もかなりあるのですが、それでも割れた海が元に戻るところはイイ。特に炎はディズニー的な生物感を感じさせる炎で、ここはマジで観ていて神秘的というか超常な味わいがありますです。

しかしジャンルとしては某団体が信者から巻き上げた金で信者向けに作り信者が観に行くというマッチポンプな映画「君のまなざし」とかに近いような気がする。もちろん質も規模も桁外れなので比べるのも失礼なわけですが。

それにしても56年でこれってやっぱりアメリカは規模が違いますな。

 

ヴァン・ヘルシング

わちゃわちゃしてる。

ラストの狼男vs吸血鬼は熱いけど色々とテンションで持って行っているため真面目に見るのは正直馬鹿らしいタイプの映画。まあバカ映画ではあるのですが。

 

アウトロー

ジャックリーチャーじゃない方。イーストウッドの方。

なんか普通の西部劇映画っぽくて割りと素直に勧善懲悪をしているように見えるんですが、実は味方にインディアンがいたりするあたりとかはやっぱりちょっと違う気がする。少なくとも西部劇映画の中でインディアンが登場するときは大抵がエイリアン的に描かれていることがほとんどな気がしますし。

ただレイプを未遂で終わらせたりするのとかは理性的だったりしますし、そういうところはやっぱりイーストウッドっぽいと思うのは先入観のせいだろうか。

それでも「許されざる者」を観たあとだと、かなり無邪気というかオーソドックスではあると言える。あとこの映画でつばを吐くイーストウッドの所作はそのまま「グラン・トリノ」に繋がっているので、「グラン・トリノ」という映画の立ち位置を確認するために割りと重要な作品であるような気がする。

 

「ターミナル」

トム・ハンクスってとことんまで彼自身にとっての異邦人を演じているような気がする。そんなこと言ったら99割の俳優がそうだろう、というツッコミが入りそうなのですが、この人の場合はなんていうか役と同化していないままその役を演じているような印象を受けるんですのよ。自分でも書いていてよくわからないんですが。同性愛者のエイズ患者にしろ機長にしろ知能指数が人より低い男を演じるにしろ陸軍大尉にしろ、どことなくトム・ハンクスという存在が役と解離しているというか。キムタクの対極にありすぎてキムタクと同じ場所にいるというかなんというか。この映画でも英語のしゃべれない国の人を演じていますし。まあ吹き替えで見たのでちょっとアレなんですが。

あと2004年なのにポケベルっていうのがすごい不思議なんですけど、あれって時代設定が過去だったりとかするんだろうか。

 

「マイカントリーマイホーム」

うん、まあ、どうでもいいというか、映画でやるなというか。130分かけて文化振興のビデオを見せられているような退屈さでしたな。

まあこの映画の収穫といえば森崎ウィンなる人間の存在を知ったことでしょうか。「レディ・プレイヤー1」にメインキャラクターで出るらしいのでとりあえずそれが収

穫ということで。

 

「フォーカス」

マーゴット・ロビーとウィル・スミスの共演作。日本ではさかなクンさんのプロモーション広告が話題になってたりしましたっけ。しかしあれも3年前ですか。時が経つのは早いですなぁ。

最近のウィル・スミスの作品はイマイチパッとしないものが多く、この映画も特筆すべきところはないのですが、それなりに好きな映画ではあります。

詐欺のスキルを持っている連中がユニオンのような組織で細々と(といっても週に120万ドルを稼いで数十人で山分けなのでそれなりに稼いでいるのでしょうが)生計を立てているというのが庶民的でフレッシュというか。最初にウィル・スミスがマーゴット・ロビーに技を披露するところで手元を撮さないのとか残念な部分はあったりしますが。

前半50分までのスピーディなテンポ感はなにげにすごくまとまっていて(描写は省いている部分もあるのですが)、最初の50分だけでも問題がないという。だからこれはドラマシリーズでやっていったりしたらそれなりに良さそうだなぁと。しかし話が話だけにウィル・スミスがどこまで本当のことを言ってるのか、ということが割りと観ている側からしても読めないというか疑心を持ってしまう作りになってはいるので、そういう意味でのちょっとしたハラハラはあるですな。とはいえウィル・スミスが演じてる時点でたかが知れているのですが。

積極的に観るような映画ではないですが、午後ローなんかでやっていたら観てもいいんじゃないでしょうか。

 

おくりびと

これがアカデミー賞で受けたのって、おそらくはエキゾチックジャパンだからでしょ。郷ひろみだからでしょ。映画の出来自体はそんなに飛び抜けてすごいってことはないと思いますよ。

むしろ音楽の垂れ流しっぷりとか多用ぶりとか、広末涼子のバストショットのゆるさ(ていうか広末涼子がやや浮き気味な気が)とか、「汚らわしい!」とかいう大奥で聞けそうな台詞とか、ちょっとガクっとなる部分も結構あったですよ。田舎の田園の中でチェロを弾く映像がインサートされたり、ああいうのもちょっとダサいです・・・。ていうか全体的に自分語りしすぎなんですよね。

しかし話は割りと興味深いし、こういうあまり見慣れない部分にスポットを当ててくれるのは好きです。腐乱死体を運んだ後に広末涼子の下腹部に吸い寄せられていくもっくんのシーンとかはエロくていいです。「死」に触れたもっくんが広末涼子の下腹部=子宮=生命の揺籃=「生」にすがりつくっていうのがいい。ここでキスしたりしないっていうのが、まさに愛ではなく性=生を確かめたいのだな、というのが読み取れる。

 

どうだろう。まあ、そんな感じでしょうか。