dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

敵の敵は味方

ペンタゴン・ペーパーズ」観てきました。

 

すごくタイムリーな内容でもあり、実はかなり燃える映画でもあるという意外さ。意外でもないか。オタクとしてのスピルバーグの映画は役者が動きまくるので万人が退屈せずに最後まで見ることができると思うのですが、「ブリッジ・オブ・スパイ」なんかでは人体の動きとしてのアクションが少ないために巧みな演出で魅せていく手法を使っていたのですが、今回の「ペンタゴン・ペーパーズ」もそっちより。それ自体は予想できていたのですが、ちょっと演出に驚いた。というのも、1つのカットが長い上にカメラがすごい動くんです。

ただ、朝早かったということもあって少し眠かったのです。基本的に喋ってるだけの映画ではありますから。無論、そこはスピルバーグ。前述したように何気ない、本当に何気ないただオフィスを十数歩歩くだけのシーンに動きを持たせることで画面を停滞させない。

 文書偽造とか検閲とか、この映画ではそういう政治的側面で語られるのが普通ではあるわけですが、しかしまあ、よく考えるとそれがなぜ面白いのかという話になるわけで。それはつまるところ正しき者の下克上であるからなのでは、と思う。ストレートにカタルシスを得やすい話というか。大統領という悪の最高権力者vs真実を追求する新聞社という構図はわかりやすいだろうし、そこに来てポストとタイムズという本来であれば競合他社である両者が敵の敵は味方理論において大統領に立ち向かうという図式ができあがるのですから、面白くないわけがない。

 

あと女性のパワーという点でもかなり意識的ではあると思う。メリル・ストリープが新聞側の実質的な最高意思決定者であるわけですし、所々で女性である彼女が男性社会において抑圧されているような描写も散見されましたし。ただ、メリス・ストリープは躊躇みたいなものを見せても屈服や服従したりはしないというのが、逆に被抑圧者の立場であることをわかりづらくさせているのかな。いや、それが悪いということではなく。

 

それと、ミリオタ・・・というかメカオタとしての成分がきっちり滲み出ており、輪転機を回す描写のテクニカルにメカニカルな演出がすごいかっこいい。輪転機をここまでかっこよく描いた映画というのもかなり珍しいのではないでしょうか。上がるところでしっかりとジョン・ウィリアムズの上がる音楽が鳴りますし。

 

ラストにウォーターゲートを匂わせる終わり方をするあたり、スピルバーグは油断できない。

 

あ、それとエンドロール後にノーラ・エフロンに捧ぐという文字が出ますが、これは映画監督のノーラ・エフロンのことだそうな。ニューヨーク・ポストで記者として働いてたこともあって、劇中に当時の彼女が出てきているそうですよ。彼女の作品では「ユー・ガット・メール」をこのブログでも扱いましたっけ。

スピルバーグは「レディ・プレイヤー・1」も控えていますし、インディジョーンズにもがっつり関わるみたいですし、これからもじゃんじゃん撮って行って欲しいですねぇ。