dadalizerの映画雑文

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ニコラス・ケイジvsジーザスフリークスの試写会行ってきた

というわけで「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」の試写会行ってきました。

上映後のトークも結構面白かったです。

カルト団体(というか集団)のボスを演じるライナス・ローチの父親がガチのカルト団体のボスだったり、劇中で用いられる曲がライナス自身が手がけてカップリング曲が16分あってその台本をやはりライナスが書いていたりとか、冒頭のポエムは実は大それた殺人鬼とかのではなくちょっとした殺人犯のものであったりとか、この映画のインスピレーションのもととなった映画が「マジック・クエスト 魔界の剣」と「SFコンクエスト/魔界の制圧」だったり、劇中の年代設定である83年は監督のパノス・コストマスが一番カルチャーの影響を受けた年であるとか、劇中で登場する斧のデザイン元がなんとかっていうバンドのロゴをもとにしているとかなんとか。

それにしても思ったより変なバランスの映画でビックリしました。

ニコラス・ケイジというとスーパーマン狂いで最近落ち目、というような印象を抱く方もおわすことでしょう。というか、私もそんな感じ。だからというわけではないのですが、今回も色物映画なのかしらと思っていたのですが、色物は色物ではあるんですがちょっと見たことないバランスの映画でしたよ。

はっきり言って、話自体はそれこそ午後ローにありがちというか復讐物なんです。ではなぜ、90分で済むようなそんな深みもクソもない話に120分もかかるのか。それはもうひとえに編集によるものが大きい。B級娯楽映画のプロットにアート表現をぶち込んだ結果、こんなおかしなものが出来上がったという。

音楽の使い方もほとんどBGM垂れ流しだったり、極端な原色の使い方とか。あれ、地味にセットとか照明とか小道具とか、かなりお金かかってそうな気がするんですけど。

正直、ストーリーの貧弱さに比べて演出が特殊すぎて脚本とかもはやどうでもいいレベルです。だから、あのトレーラーハウスに住んでた黒人のおっさんは何なんだよとか、どうして唐突に銀の斧を鋳造し始めたり、あのライダー三人は結局人間(ラリった)なのか魔物的なアレなのかとか、まあそもそも説明の必要はない部分とかもあるんですが、ともかく異質ではある。どことなくヘルレイザーぽい気もするんですよね、あの三人組。

そう。この映画は演出がかなり異質。ていうか変。言葉にしてしまえば「(いつものように)森を歩いていたマンディを目撃したカルトのボス・ジェレマイアが手下とかドラッグとかを使って篭絡しようとするも自作の音楽を聴かせながらフリチンで迫ったらマンディに爆笑されてプッツンして焼き殺し、それを目の前で見ていたレッドがリベンジ開始」という至極単純で、それこそ笑いすらある。

が、リベンジが始まるまでの演出はもう本当に異質でしかもくどい。長回しも多いし、めっちゃゆっくりズームアップしていくカットがあったり、幻惑的な表現が過剰で誇大にすることで、本当にジーザスフリークスたちが魔力じみたものを有しているように見えてしまう。いや、最後のあれを見るにあえてどっちかわかりづらくしているのかもしれないんですが。

個人的に、めちゃくちゃ編集凝っているなーと思ったのはジェレマイアがマンディをかどわかそうとするシーンでふたりの顔面ドアップがワンカットでシームレスに繋がり、両者の境界が曖昧になっていくところ。あそこは素直にすごいと思いました。多分、絶妙に動きを残しているからギリギリ気づけるようになっているようですが、あれは本当にハッとさせられましたね。

しかしアンドレア・ライズブローの妖艶さは凄まじい。ストレートに美しいというタイプではなく、「地獄愛」のロラ・ドゥエニャス的な魔女っ子的魅力なんですよね。

それにしても公式サイトのアンドレアさんの顔怖すぎ。

で、これはほとんどアート映画に近いんですけど、所々で笑わせようとしてきている気もするんですよね。マンディが殺された直後にバスルームでワンカットで酒を飲みながら絶叫するシーンのカメラワークとかね。実際、あそこで試写会の会場は笑いに包まれてましたよ。いや、本当はあそこ悲しいシーンでもあるんですが。ほかにもブラックライダーの一人を倒す時のカンフー的な止めでカメラ目線だったり、ドラッグ決めてハイになるケイジとか。あと大阪のオバチャンが来てそうなトラのシャツとか。クソダサいのに妙に欲しくなるのはなぜなのか。

最後の車のシーンで変顔見せてくるのとか。わたしは地味に客へのサービスも意識しているように思えました。しょーもないグロとか、チェンソーバトルとか日本家屋っぽい場所で日本っぽいAV垂れ流される背景で繰り広げられるバトルとか。

バカバカしいところも愛嬌あっていいと思いますよ、ええ。

 

しかしヨハン・ヨハンソンの最後の仕事がこれというのもなかなか面白いというかなんというか。あとこれがトマトで98パーセントというのも笑える。

 

まあ、これはさすがに万人向けではないのですめちゃくちゃオススメするということはないですが、個人的には結構好きかもです。