dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

全ては愛

久々のティム・バートン映画。猿の惑星あたりから世間的にはいまいちパッとしない印象の強い彼ですが、少し前の映画はやはり良い。なんて懐古主義なこと言いつつも「ペレグリン」も嫌いじゃないんですけどね。ダンボも楽しみだし。

で、今回見たのは「エド・ウッド」。なんていうか、やってることがリーブ版のスーパーマン並みに強引で涙しつつも笑える。要するに愛なんですよね、この映画。

一応、その名の通り史上最低の映画監督として名高いエド・ウッドの伝記映画ではあるんですが、どちらかといえばファンタジー映画。

しかしやはりバートンは世界構築に関してはすさまじく、「シザーハンズ」と同じ手法でもって冒頭にハリウッドを見せつけてくる。ちなみに、あそこのミニチュアシーンの制作だけでエド・ウッドの映画のすべての製作費を合わせたものよりも金がかかっているそうで。

エド・ウッドの全面肯定であり、彼の幸せだけを詰め込んだ映画である。だからオーソン・ウェルズとの出会いもねつ造するし、プリミア上映の会場もねつ造する。否、ねつ造ではなく、夢想だろう。

確かにバートンがフリークスに向ける悲哀のようなものはあるんだけれど、それ以上にエド・ウッドと愉快な仲間たちの幸福な時間を堪能する映画なのでせう。

ウェルズとウッドを対置させるのはある種「タケシーズ」のそれに近い。

エド・ウッドを一言で表すのであれば「下手の横好き」だろう。しかし、そんなものは九割九分の人がそうだろう。ウェルズのような非凡な才人は一握りだ。そしてバートンも明らかにウェルズよりな人間だ。

けれど、彼はウッドに生暖かい眼差しを注ぎ愛してくれる。そのポンコツっぷりを。だから酒に溺れて落ちていく晩年のウッドをこの映画は描かない。バートンの夢想したウッドの絶頂で幕を閉じる。IF、ではなくバートンなりの想像として。

まあね、才能のあるバートンがウッドのようなポンコツ(要するに大多数の凡人・・・エド・ウッドの場合はポンコツっぷりが突き抜けているのである意味それも才能と言えるのかもしれませんが)をコミカル()に描くというのはともすれば上から目線にも思えなくはないのですが、まあ難しい命題ではあると思う。この辺は常に自分の中にある葛藤になってくるのであまり深くは突っ込まないでおきたい。

 

とにもかくにも本当にバートンは愛いやつである。ここいらでそろそろ一発ドカンとやってほしいところですね、バートンには。いや、好きなんで、バートン。