dadalizerの映画雑文

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ソーれでいいのかマイティソー

いやぁ、MCUの中でソーだけパッとしないなーと思っていたんですがーーマーベルもそう思っていたのかはともかくーーだからと言ってソーシリーズの締め(?)をここまで暴力的な「映画」(と言うのは憚れるのですが)だとは思わなかった。

映画としては評価できないけど全然楽しいし笑えるというのが、なんともこう「ちからこそぱわー」というか「まねーいずぱわー」みたいな感じがして複雑な思いだったりする。前2作は映画としての体裁は保っていたけど、そんなに面白いわけでも退屈というわけでもないという微妙なラインではあったので、これくらいはっちゃけたほうが良いというのもわからなくもないんですが。

 

今更すぎることですが、この「マイティソー バトルロイヤル」はMCUという2008年から始まる連綿と続くシリーズの下地がなければ、そしてそのシリーズを持続させる体力と資本とコンテンツ力がなければ、こんな映画ならざる映画を膨大なリソースをかけて作ることはできなかっただろう。

そういう意味で、やはりこれはアメリカはハリウッドでしか作れないモノだったろう。多分、プロダクトプレイスメントテストな中国ではコンテンツ力が足りないし日本は言うまでもなく資本(は一要素ですが)がないし。

図らずもアメリカという国の国力を見せつけられたなぁと。いや、わかっていたことではあるんですがね。

 

MCUは厄介なことに単独シリーズではなく「アベンジャーズ」ラインだったりほかの単独シリーズのラインでの時系列から続いていたりするので結構前回までがどうだったかということがわからなくなってくるわけですが、本作に関しては実にわかりやすい事の経緯が冒頭でソー自身の口からなされます。で、この冒頭がこの作品のすべてを物語っていたりする。

それが何かというと「『マイティ・ソー バトルロイヤル』は説明のための映像作品である」ということであり、要するに「映画」であることを捨ててMCUに貢献するためだけの映像と化すことである。しかし、そのくせ実はMCU全体から見ても「バトルロイヤル」はそこまで必要ないんじゃないかと思えるほどMCU全体からは乖離した次元で話を展開させていたりして、もうよくわからないスタンスなのである。

強いてMCUラインで必要になってきそうな部分といえばドクターストレンジとソーを接触させる点(これもまあ、色々と唐突なわけでそれこそが本作を「映画」ではなく映像集にさせている根幹だったりしそうなのだけど)、ハルクの回収とかかなぁ。といってもハルクの追放がそもそも「バトルロイヤル」のためにあったようなものなのでやっぱり全体としては「MCU作品を作る=金を儲ける」というメタ次元から見なければならなかったりするわけで。

 

本編見ればわかるんですけど、本作には物語と呼べるような物語はなく、ただゴールに向かってイベントとしての場面が連続しているだけなんですよね。ドクターストレンジといいヘラといい、なんの前触れもなく現れるし。ヘラにいたってはオーディーン(ホプキンスじっちゃま)が彼女の存在を告げて死んだ直後に登場しますからね。テンポがいいといえば聞こえはいいですが、それもはやG1TFのレベルだから!ヴヴヴのマリエ要素の回収くらいのテンポだから! 要するに完全にギャグのそれ。

でもそれをやってのけるのが魔術師だったり死の神だったりと規格外の設定を持つ連中なのでそこまで映像的に違和感はないという。説得力を形而上の概念を拠り所にしているというのはちょっと卑怯な気がしなくもないし、逆に安っぽいというかバカっぽくもあるのですが、作品の色がそもそも割とバカっぽいのでそこも気にならないという。

で、全体がまあそんな感じでキャラクターが舞台の背景を一々説明してくれるのでこれまでのシリーズを見ていなくても楽しめるといえば楽しめたりする。というか既存シリーズとの関連ほぼないし。

で、前述のとおり展開のための展開が連続するだけで、血肉の通った骨子のある物語があるわけではないので(伏線ぽいものがなくもないのだけれど)全体としては「割とどうでもいい」というスタンスで観ていた。

しかし、げに恐ろしきは人海戦術+マネーパワーである。一つの映画として映画になりきれていないにもかかわらず画面は色彩豊かだしキャラクターの衣装は変わるしキャストはいっぱい出てくるしCGバリバリ使うし(オーディーンとの会話部分もCGで済ませる強引さ。いや、そっちのほうがロケより安上がりなんだろうけど)で、見ていて楽しいことは楽しいんですな。アイキャンディだけで成り立っているような(だから「映画」ではなく「映像集」とわたしはやや揶揄的に使っているわけですが)作品ですので、後半はまあ割とダレてきたりはするんですけど。

まあともかく「ソーシリーズっていまいちパッとしないからともかく楽しい映像ぶちこんどくか!」と思ったかは知りませんが、完全にはっちゃけた感があってわたしはこれはこれでイイんじゃないかという気はします。いや、映画としてはどうなのよと言いたい気もするんですけど、別に損をしたわけでもないし楽しめたし・・・いやしかし割り切れない自分がいるのも確かではあるので複雑なのですが。

あ、どうでもいいことですけどクインジェットのモニターに映し出されたハルクの顔とバナー(マークラファロ)の顔が重なる演出は結構芸コマでよかったですよ。

 

あとラスト付近の絵ヅラがまんま「モアナ」だった。「ソー バトルロイヤル」の監督であるタイカ・ワイティティが脚本を書いてたから、何かしらああいうのが好きだったりするのだろうか。いや、まったく関係ないと思うけど。

 

あとマット・デイモンがチョイ役で出てて盛大に笑ってしまったのですが、「ジェイソン・ボーン」ではあんなにムキムキだったのに重力の効果とはいえ顎のラインが消えかけていて笑ってしまいました。ジョージ・クルーニーの映画のための逆カラダづくりかもしれんですが。

 

あとBSで「グーニーズ」やってた。

中学のころ理科だったか英語だったかの時間に先生がちょろっと見せてくれたのは覚えてたんだけど、全編を通して見たことはなかったのでよかったどす。

スーパーマンでお馴染み(おなじみか?)リチャード・ドナー監督の代表作。なんですが、思った以上にスピルバーグっぽい要素があって笑えた。

クリス・コロンバスが脚本にいるので、子ども要素ってそこかなぁ。相変わらずスロースとかいう身体的フリークスを登場させるあたりクリコロの根っこが変わらないことが面白い。父親の不在(正確にはちゃんと存在するんですが)とか顔面アップとか、そもそもインディージョーンズでしょとか。

全体的にゆるい作風ではありますが、それゆえに万人ウケしやすいのかなーと思ったり。スーパーマンもそうだけど、ドナーって結構ゆるふわ系な気がする。これをスピルバーグが撮ってたらもっとグロ成分とか強めになってそうだし(笑)。どこまで関わってるのか知りませんけど。

どうでもいいけどリチャード・ドナーって90近いんですね・・・。最近だとXMENのFPのプロデュースしてたみたいですけど、もう映画は撮らないのかな。