これ超面白い。
北野映画並みに人がぼろぼろ死んでいくし、それが大局的で二元的な善悪に無頓着な(というとやや語弊があるけれど)描かれ方をしていないのがすごいよろしい。
ともかく血は出るし年端もいかない子どもは死ぬし撃たれるし、温室育ちの方には不快になるシーンが多々ありまする。が、抜群に面白いし、編集や脚本も地味に工夫が凝らされていて観ていて飽きない。
それでいて話のトーンは妙に軽く、全体としてはデュラララや血界戦線のような雰囲気すらある。成田良悟の作品に北野映画の連中が現れて、ラノベ的な臭みを脱臭した感じ、といえば遠からずかな。神の視点(読者だったり、あるいは特定の狂言回しとしての人物に俯瞰させる)からそれぞれの人物の行動を見せていくのとかも。
まあ北野映画みたいな虚無性じゃなくて、もっと下町的な情感みたいなものはあるんで、そのへんはまったく違うんですけど。
カットやアングル、子どもを殺しとき殺したあとの銃に焦点を合わせてーのとか、やけに気が利いているというか工夫がされている。スプリットスクリーンの使い方も斬新で面白い。真説ボーボボの上下スプリットスクリーン的というか。
暴力が溢れているのだけれど、そこに善悪だとかあるいは虚無性だとか、そういうのではなくもっと卑近で日常的なものとして、それを内包する部分も含めて「シティ・オブ・ゴッド」という生まれ育った場所に対する思いみたいなものがある。
それを、狂言回したるブスカペのカメラから捉えさせる。
最後の長いカット。ブスカペと友人の背中を追っていったカメラは、画面左から現れ二人と交差する新たな支配者となった少年ギャング集団を追っていく。
「俺の地元ってさー」
そんな言葉から始まる、地元愛に溢れる映画。