dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

R・J・マクレディは怒っていい

この監督の映画って間がすごい伸びる。

だから、2時間を越えるような内容ではないのに2時間を越える長さになる。まだ長編は7作しかないらしいのですが、自分は「横道世之介」しか観たことがないんで、なんとも言えませんが今回の「南極料理人」と見比べるとそういう傾向はありあそう。「横道世之介」なんて160分ですからねぇ。

とはいえ、これは別に批判しているわけではなく、むしろその「間」によって笑わせてくるタイプだったりする。1つ1つのカットが比較的長くカットをあまり割らないというのもある。生瀬勝久の誕生会のシーンなんか、特に顕著な気がする。堺雅人が娘の歯を取り出すまでずっとワンカットですからね。だからテンポを犠牲にしてそういう独特な「間」でちょっとした笑いを演出するのが得意なのだしょう。

即落ち2コマ的な演出をするときも、その振りが長いですからね。宇梶が南極に行くことになって喜び胴上げからのバイク事故のところは、明らかに胴上げの場面長いし。堺雅人が南極に派遣されている時点で宇梶に何かしらアクシデントがあったに違いないという予想を観客は立てるわけですが、あまりにこの胴上げの間が長いのでキャッチに失敗して腰を打ったりするのかと思いましたよ。

伊勢海老→エビフライの天丼からの「刺身だな」とか、ああいう「フッ」って感じに笑えるネタが多いのが沖田修一監督の特徴なのかも。あのシーンでいえば全員が同時に伊勢海老の頭をどけるのとか、ああいう日常的な笑いを演出するのが好きなんですね、この監督は

ラーメン>カニなのも笑えた。

 

地味に料理映画としては好きかもしれない。料理映画としても普通の映画としても質の高い「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」とか「二つ星の料理人(※ほぼキャストへの思い入れ)」とか「レミーのおいしいレストラン(※まあよく考えるとアレですが)」とか、あの辺に比べると「南極料理人」はおっさんが戯れているだけなのでドラマは皆無ですが(しかしシチュエーションは「遊星からの物体X」とそう変わらないのに凄まじく牧歌的である)。そういう意味では映画というよりはドラマとか、そういう感覚で観るものだろう。今はどうか知りませんが、少し前まで深夜アニメとか深夜のミニドラマで飯食うだけのはやってましたし。そこに笑いを足したような感じなので、垂れ流し見するのに向いている。余談ですが友人は「キャシャーン」をそういう感じで垂れ流して観ることがあるらしい。一時期はわたしも「トランスフォーマー リベンジ」をそういう感覚で観ていた(もはや観てすらいなかったけど)時期もあったので、そのへんの感覚は人によって違うでしょうが。

 

伊勢海老のエビフライはちょっと食べてみたいなぁ。