「ミルカ」
全体的にそれでいいのか感が。
彩度の調整とかはまともかくとして、色々と能天気な部分ががが。
BGMの使い方とかアングルとか編集とか、すごいコマーシャルっぽい。ていうかまさに伝記CMって感じなんですよね、あの感覚。
あれで最後にコカ・コーラのロゴとかが出てきても違和感ない。
韓国の金融犯罪もの。
出だしから最後まで話がぐいぐい進んでいくしテンポはいいし超面白いっす。
前半は。
後半はなんかオーシャンズっぽくなってきて前半のノリを期待してると若干肩透かしではありまする。
とはいえ一粒で二度美味しいとも取れますし、ましてつまらないわけではないのでモーマンタイではありまするが。
キムママver2のヘリのくだりとか笑える部分もしっかり入れてきてカッコマン気取りすぎないバランスも良い。
「エアポート2017」
連続ドラマの劇場版かと思うテンポ。てか原題からしてワイルドスピードのパロですよねこれ。
まあアレをパロるなら筋肉成分、最低でもハゲは欲しいところですが。
会話のカメラワークの単調だったりズームの使い方が24ぽかったりするのががが。
あんまし記憶に残らないようなタイプの映画だけれど、観ている間は少なくともあまり退屈はしなかったかな。
いや、後だしは結構あるしリアル路線な佇まいに比べてなんか馬鹿っぽい絵面もちょいちょいあるんですけど、その辺も含めてなんか愛らしいというか。
まあこれを成立させているのはマイケル・キートンの存在力であるわけでして、本来ならば死んでいてもおかしくない役どころでありながらも最後まで彼を生存させたというのも多分監督はキートンの力で最後まで牽引しようとしてたんでしょうな、最後まで。
他の役者もしっかりしてるし、まあ色々と気になる点はありますけれど、頑張っている気概が見える作品だし。
「シャンハイ」
政治あるいは戦争、その一線を超えたところで1人の人間の死によって緊張が弛緩するという皮肉。
背景に迫る戦争の音。それがついに火炎となって降り注ぐ瞬間のバカ野郎。
これは避け得ないカウントダウンの話だったのだなぁ。その佇まいはほとんど「ターミネーター3」的と言っていいかもしれない。
「シェナンドー河」
喪失と再起の物語。
喪失の象徴としてのジェームズ、アン、ジェイコブの死、再起の象徴としてのボーイの帰還。
ボーイの帰還は父であるチャーリーが息子を殺したボーイと同い年の16歳の少年兵士を赦したからではあるのだけれど、赦しというにはあまりにも怒りを湛えたものだった。
ジェームズ役のパトリック・ウェインがヘンリー・カヴィルに似ていて、つまりスーパーマン的人物が残り娘であるジェニーがボーイの回収に同行したり、夫のサムが助けられる側というのもジェンダーロールが逆転していて60年代のアメリカ映画とは思えない感じ。この辺はあまりフィーチャーされないのが物足りませんが。
まあそれを言ってしまえば、ジェームズ・スチュアートのあの戦争に対するスタンスというのも、中々見かけないタイプではあるとは思うのです。
けれど、これは伊藤の指摘したような逆セカイ系的な路線であり、つまりセカイというのは個と繋がっているわけで、まして自国同士の戦争の渦中にあって知らぬ存ぜぬでいられるわけもなく。
それが至極真っ当で誰もが抱く正論であったとしても。
奴隷制の下から解放された黒人少年のガブリエルが、その制度の名の影響下にあってボーイとの交友を育んでいたからこその、そして二人の背景を全く描かなかったからこそのあの純粋な友情のシーン。欺瞞的とも言えるのかもしれないけれど、あの状況下にあって敵軍であるボーイを救えるというのは、やはり友情のなし得るものでなくてなんなのだろう。「ハクソー・リッジ」におけるアンドリュー・ガーフィールド的な狂気的な聖人性に寄って立つものでもないのだから。
まあ、スパイク・リーとかはあまりいい顔しなさそうではありますけど。
ボーイは言う「人を撃ったことがない」と。
それに対して投げかけられる言葉は「敵は知らんさ」という非情なもの。
けれどガブリエルは知っていた。だからこそボーイは生き延びた。
徹底的に他者化を行うことで殺人を正当化する戦争という状況にあって、二人は人種的な壁や南北という隔絶を乗り越える。
帽子とか少年兵のくだりとか、何気に伏線を上手に回収していたりするあたりも上手い。
書割に見えるような牧歌的な背景の歪さやジェームズを刺し殺した剣をずって階段を上るカットとかゾクゾクするような恐ろしい画作りも際立っていて、中々どうして素晴らしい作品でござんした。
「超巨大ハリケーン カテゴリー5」
事実ベースでどういう脚色をするか、という方向性においてこういう手法を取るのはまあわからなくもないのですが、かえって安っぽくなってませぬか。
まあでも台風の目を真上から見たカット、あれは最高だったから良し。
「48時間」
すごいちょうどいい感じ(?)だと思ったらウォルター・ヒルでしたか。
「コマンドー」でお馴染みのジェームズ・ホーナーもバリバリ分かりやすい音楽だし、こういうちょうどいい感じでサクサク観れる映画というのっていいですよね。
「張り込み」とか「ミッドナイト・ラン」とか、こういうのを延々とループしていたい。
「太陽の季節」
何かの評論集で藤井善允さんが円城塔文学と石原慎太郎文学の比較でこの「太陽の季節」の原作を取り上げていたのを思い出て慌てて観る。
にしても原作60年以上前ですか。石原慎太郎何歳なのよって調べたらそろそろ米寿になる年なんですねぇ。
しかし90分の映画でボクシングシーンに10分使うってすさまじいですな。
原作未読につきウィキさんを参照させてもらったのですが、これラストの方は藤井さんの原作の評論と照らし合わせると映画と原作で描かれてることってかなり違いませぬか。
藤井さんの評論の方だと竜也は堕胎するよう言ったと書いてありますけど、映画だと「好きにしろ」っていう感じでしたし。
(「子どもができても悪くねぇつっただけだ」ガシャーン/はちょっと露骨すぎますが。)
確かに子供を抱いたチャンピオンのだらしない顔~のくだりはありましたけど、どうも原作だと自分で思ったような描かれ方なのに対し、映画では友人に指摘されて気づいたような感じだったので、この辺のニュアンスはだいぶ変わっていることになる。
原作だともっと暴力性がフィーチャーされているようだけれど、映画だとそうでもない。
というか、「愛情表現が七面倒くさくて怠惰なたっちゃんがその性根ゆえに後悔する」話に見える。
どうでもいいけど「処女撲滅運動」というワードに笑う。あとウィキが妙に充実してるのも笑う。
「金融腐食列島 呪縛」
タイトルバックに特撮みがあっていきなり笑ってしまったのですが、まあ「ガンヘッド」とか撮ってる人だし。
にしても凄まじい言葉の量。カメラワークといい「シン・ゴジラ」の一番の参照元って実はこの映画ではなかろうか?
もちろん異なる部分はかなりあるし、それが庵野さんがアニメーターという部分から起因しているのかは分からないけれど、「金融~」で観られるような手持ちよりもフィックスを多用している辺りは如実ではある。
状況(「シン・ゴジラ」ではゴジラ、「金融腐蝕列島」では不正融資によるまさに状況そのもの)に対する人間の反応を描くことで、ことさら人間ドラマ(笑)を描かずとも人間が浮かび上がってくるという。
そうなんですよね。役者の顔とレスポンスを――――まさにヒトというのが状況に適応するためのレスポンスの継ぎ接ぎによって今の姿になった=進化してきたわけなので。
いんやぁ、面白いですな。
「レッドブル」
観たことあると思ってたら通しで全編観たことなかったことに今更気づく。
フィッシュバーンが細いなーとか雪の中でシュワちゃんが震えてるのが観ていて笑えたり、何気に当時のシュワのターミネーター的な機械感を利用してソ連邦人という設定、それを最後に反転させるという(まあアメリカに来るきっかけとして親友を殺されたことが強いモチベーションになってるので「実は」とかそういうのではなかったりするんですけど)結構巧みな戦略が取られていて、「コマンド―」系の映画の中では割と出来栄えのいい映画なのではないかと。
結構好きですこれ。
「バトル・フロント」
おバカドンパチ系かと思って舐めてました。
なんか普通に面白いこれ…と思ったらスタローン脚本なんですね。キャラに血が通ってるのは彼の脚本のおかげかもですね。
アクションシーンの見辛さはあれですけど。
初めて最後までまともに観る。
普通に面白い…。
最後まで欺瞞たっぷり。水と油のキャラクターが友情は育みつつしかし最後までキャラぶれせずにハッピーエンドを迎えるのに、最後まで欺瞞たっぷりなところも含めてすんごい面白いです。
ラッサルクロウはあれ半分くらいガチバイオレンスなんじゃないですか、と思えるくらいの猪突猛進ドーテースピリット持ちの暴力デカで笑ってしまいましたよ…。
「ケース39」
エスターの亜種というかオーメンの亜種というか。時期的にも「エスター」が公開して間もないタイミングというのもあったんでしょうけど、同じようなネタにしても向こうの方がインパクトありまするゆえ。
イアン・マクシェーンとかブレッドリー・クーパーとか何気にこうして見ると豪華ですね。主演のレネーさんがどっかで観た顔なんですがいまいち思い出せない。
この手の映画で勝利エンド(投げっぱなしジャーマンともいう)は珍しいかも。明らかに投げただけに見えるけども。
午後ローでながら見する分にはいいかも。
「メガ・スパイダー」
蜘蛛のモンスター系パニック映画って結構良作が多い気がする。といってもほかのサンプルが「スパイダー・パニック」くらいしかないんですけど。
主人公がグレッグ・グランバーグというのも絶妙な知名度な感じでいい。
アングルとかトランスフォーマーぽいところがあったり、別の怪獣映画のパロディらしきシーンがあったり、そこそこ楽しい。
アルバトロスが買い付けてきそうでそうでもない絶妙なライン。
「危険な情事」
基本的にはダグラスの屑っぷりが引き起こすことではあるんですけれども、グレン・クローズのあの感じは既視感があってすごい嫌でした。
というかダグラス目線(作り手の意図はこっち)で観ればホラーなんんですけれど、一方でグレンの視点からするとむしろ哀れというか同情を誘うわけでもあって、そういう感情が色々とまぜこぜになって観ていていやーな感覚に。
最初のシーンのカメラワークにすごい既視感がー。
最初の方は割とよかったんだけどパーツがとっ散らかったまま終わってしまった印象。
なんだかなぁ・・・コメディに振り切ればまだしも。
「34丁目の奇跡」
ジョン・ヒューズ製作っていうのが本筋とも相まってより胸に来るものが。
ジョン・ヒューズの大人に対する不信みたいなものの裏返し、自分の理想の大人を描いたのではないかと思うと。
決してサンタの超能力的なものではなく、むしろサンタを救うために動こうとした結果としてスーザンの願いをかなえるというのが前半にサンタのハイスペックさを見せつけていたからこそ。
しかし鈴置さんの吹き替えボイスってこんなにセクシーでしたっけ? ちょっとやばいくらい色っぽくてヤヴァイ。