「バリー・シール アメリカをはめた男」
なんかやたらカメラワークが特徴的だな、と思ったらダグ・リーマン監督だったんですな。こんなにギャグセンス高かったっけ、と思うほど爆笑ポイントが結構あって今年観た映画の中では一番笑ったかもしれない。
無重力セックスとかJB爆死とかDEA・FBI・州警察などが一同に会するシーンは特に吹き出しポイントが高く、すわサウスパークか!と思うほどでした。
ダグ・リーマンの作品はそこまでちゃんと追ってるわけではないのだけれど、この人が監督する作品のメインキャラクターって即物的なことが多い気がする。演出(浮薄なセリフと紋切型の愛情描写)とかカメラワーク(やたらアップにしたりズームインしたり)が余計にそうさせている、というのもあるのかもしれない。
一方で、表面的にはそういった即物的な欲望を全面展開していながら、その内実はもっとエモーショナルというかロマンティックな部分が垣間見えたりもするのだ。
今回に関して言えば、バリーはあそこまでのことをしていながらそれでもやっぱり家族のことを愛していたというのははっきりと読み取れるし、過去作の「ジャンパー」なんかも表層的な欲望に対してのユースフルな空気感がむんむんとしていたような気もするし。
というか、「大局に踊らされる個人」の内面を描きたいのかもしれない。というか、それを人物に寄ってではなくあえて即物的に捉えることで逆説的に、つまり描かないことで描き出すのがこの人の手腕なのかもしれない。
今回はカラっとしている分、余計なしみったれ要素もなくて、だからこそ観終わってひと段落すると物悲しくなったりもする。
いや、これ良い映画じゃないかしら。
「デス・ウィッシュ」
なんか、すごいちょうどいい映画。
「極道の妻たち」
情念がすごい。姐さんを揺らがない女として描きながら(反応を描かないのとか)、最後には妹のことで感情をあらわにする。
やくざ映画って基本的に情念みたいなものと裏切りが常だと思うのだけれど、そこに男女の彼我はないのではないか。いや、まあ、死にやすさという意味においては男の方が遥かに脆いのだけれど、それは立場の問題であって、基本的な構造としての対称性は担保している気がする。
しかし役者がみんな演技が濃ゆくてよい。
「極道の妻たちⅡ」
煙草を渡されて吸おうと手首を返すしぐさのところで止めるのはすごい良かったんだけれど、そのあとで撥ねられるところで止めるのはくそダサかったとです。
五社英雄に比べるといかんせん男性が出しゃばりすぎなきらいもあって、というか岩下志麻が良すぎたというのもあるのだけれど。
ラストの「かたせ梨乃とセックスしたら死ぬ」の天丼は笑うのでやめてほしかった。
「悪の法則」
午後ロー。
ヤクザ映画観た後にこれ、というのがなんともはや。原理自体はヤクザ映画のそれ、特に北野映画ぽい無機質さがあるのだけれど、しかし無機質さやドライさというよりは、やはり即物的な面が目立つ気がする、というのはやはりお国柄なのだろうか。
やっぱり特撮すごい良いなぁ、と見返してみて改めて思った。
良かった。「この世界の〜」に比べると高畑よりも宮崎ちっくな気がする。