dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

ロサンゼルスから脱出だ!

???「バカばっか…」

 

何の気なしに番組表を見ていたら「エスケープフロムL.A」がやっていたという奇跡。

相変わらず午後ローはやってくれる。「ニューヨーク1997」の方は結構前に観てはいたんですが、こちらは手付かずだったので素直に嬉しい。で、ウィキを観ていて知ったのですが「ニューヨーク~」でのカートラッセルは吹き替えが青野武だったのですね。こっちは字幕で観たのですが、午後ローでは山路さんでした。むしろ青野さんというのがイメージできない・・・。

続編でありリメイクでもあるという不思議な立ち位置のこの映画。

そういう映画としての立ち位置もあるのか、「ニューヨーク~」のほうはいたって真面目な映画だった気がするのですが「エスケープ~」は完全に笑わせにきています。

いや、全体を通しての雰囲気は間違いなくハードボイルド調なのですけれど、要所要所で明らかにこちらの笑いを誘っている節がある。なんというか、BLとか少女マンガにあるようなシュールな笑いというか。まゆたんの「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!」的な笑いというか。もちろん、これみたいに無学からくるものではなく、カーペンター公の場合は意図的なのだろうという点で隔絶しているわけですが。

 

説明的な台詞なんぞ朝飯前であっさりと映画の設定や世界観を済ませてミッションをスタートするスピーディさ。ウェルメイドなぞクソ喰らえ。

些事ではあるのですが、ちょっと思ったのがVRをいちいち「バーチャル・リアリティ」と略称を使わないところに時代を感じる。要するにこの映画の公開時はまだそこまで知名度でなかったのかな、と。

「ユニバーサル」ときてサメという小ネタを盛り込んでいたりするし、基本的にはサービス精神が旺盛ではある気がする。だってわざわざハリウッドの整形を皮肉るシーンまで入れてくれますからね、話的には不必要ですから。いや、むしろ構造的にはそういった皮肉とかサブテキストで固め上げた映画という気がする。本筋は本当にシンプルですからね。

イージーライダー」のピーター・フォンダの使い方とか、アウトローの先達というサブテキストを披露するためだけと言っていいくらいの時間しか出てきませんし。

 bgmのコテコテぷりとか、コート姿とか、日本の特撮みたいで大変よろしい。これは吹き替えの問題の気もしますが、ウィルスに対して解毒剤というのが違和感があったり(抗ウィルス薬じゃだめだったのだろうか)。VR空間のちゃっちさは、予算の都合もありつつやはり意図を感じる。

 

それにしてもスネークの汚さはギャグである。敵は律儀に待ってくれるのに(この「待ってくれる敵」というのもカーペンター的な遊びというか皮肉なのでしょうが)、自分から提案した決闘方法には従わずダーティな戦法でもって敵を殺すスネーク、助けた直後にすぐ死ぬヒロイン枠、2回に渡るチビネタ、バスケコートの人間を四方から射撃するアホ丸出しな絵ヅラ、ステルススーツを着せたせいで位置把握できなくなる大統領一味の頭の悪さ、律儀にバスケするスネーク(モーションブラーまで入れちゃって、それなりに尺を使っているのも面白い)、画面隅でウォーキングマシンで歩かされるスネーク、地震のカットが変わるとテーブルの下に隠れている大統領、足を撃たれた直後にサーフィンするスネーク、そのサーフィンの絵ヅラのどうしようもないバカっぽさはほとんど漫画的であるし、不必要とあらば都合よくヘリコプターの後ろの席に座っているキッチュ連中だけ無感動に背景的に始末する潔さ、どうでもいいコートの伏線を回収するし。

設定だけ見ると重めというか真面目くさっていて、実際にオチとしてはスネークが世界のシステムを破壊して文明崩壊にまでいたらせるという(絵として表現はされませんが)幕引きですし、皮肉の内容も今見ると笑えない内容だったりするのですが、やはりシュールな笑いがある。

酒もタバコも女も禁じらた中で、タバコを吸うことで「人間に戻れたぜ:というセリフで暗転して終わり。粋である。

こうして見ると、MGSって実はこの一連の作品から影響を受けてるんだなぁとしみじみ思い直す。表層的な部分だけではなく、笑える部分なんかが。