dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

ザ・普通の映画

しかも機を逸しているという始末。

そんなわけで、十中八九今年の見納め映画となるである作品があまりパッとしないブレット・ラトナー監督の「天使のくれた時間」でした。クリスマス映画なのにクリスマスを過ぎた後に見るという体たらく。いやまあ、普通の人はクリスマスに映画なんて見てないで団欒なり乳繰りあったりするわけで・・・どうでもいいか。

 

さて、ブレット・ラトナーといえば「ラッシュアワー」の監督と考えるか「X-メン ファイナルディシジョン」と考えるかで評価が割れそうな気がしますが、どちらにせよそこまで知名度があるというわけでもない感じなのですが、この「天使のくれた時間」もそんな感じでした。

決して悪いというわけではないのですが、これといって良いわけでもない、ある意味で一番感想の書きにくい映画であったりするわけで。それでも、この映画を今このタイミングで見直すことができたおかげで、色々と考えたことはあったのだけれど。

「天使~」は「素晴らしき哉、人生!」を原案に二次創作的にIFを描いたものらしい。そういえば日本ではすごく地味に「素晴らしきかな、人生!」というウィル・スミス主演の映画が割と最近やっていましたが、あっちもパッとしませんでしたな。「素晴らしきかな、人生!」はおそらく日本の配給会社が勝手につけただけであってリメイクというわけではないのでしょうな。原題は「It's a Wonderful Life(素晴らしき哉、人生!)」と「Collateral Beauty(素晴らしきかな、人生!)」なので。ややこしいなー本当。

あれか、クリスマスを舞台に夫婦の着くか離れるかを描けばそれっぽくなるのか。

 

えー割と「ニコラス・ケイジの甲高い声笑えるなぁ」とか「ティア・レオーニって女優さんトム・クルーズに顔似てるなぁ」とか、そんなしょうもない感想しか出てこなかったんですよね。

もしもあのとき別の道を選んでいたら、というIFの世界を何らかの方法(SF的解釈なりファンタジックな解釈なり)で描き、最終的には今の人生を肯定するなりアウフヘーベンするなり、という形に収まるという基本フォーマットがある。と思う。例を挙げろと言われると意外とでないんだけど。

この映画はそのフォーマットを本当に正しくそのまま踏襲してしまう上に、割と過程の描き方が退屈(下手ということではなく。いや、下手なのかな)だったのが自分の中で「どうでもいい」感じになってしまっているのは否めない。まあ民放BSで30分はカットされていたから、其の辺を埋め合わせるとまた別の評価になるのかもしれませんが、まあそんなことはないでしょうな。

個人的にはアイアンマンからMCUに入っていた身からするとドン・チードルが天使役というところで、なんとなく納得したというか。「ミリオン・ダラー・ベイビー」におけるアンソニー・マッキーを見つけた時のような「お得感」とでも形容したくなるようなものがあって、それで元を取ったというか。

 

そんなわけで、本編に関してはそんな感じなのですが、これをBSで観ていて思ったのは、フィルム撮影でフィルム上映というのがいかにデジタル撮影と違うものなのかということ。

まず色調。これがもう、暗いのなんの。陰影とか少し粗い部分なども相まって、なんだからJホラーを見ているような気分になったです。で、実のところJホラーの怖さってこういう部分に依拠していたりしたんじゃないかと思った。Jホラーに限らずサスペンス・なりミステリーなり、緊張感や不安感を煽っていたのはこの映像の質感そのものにあったんじゃないかなーと、デジタルに慣れた今の目で見ると強くそう思った。

昔の映画のトレイラーなんか見ていると、特にそういうの感じますしね。最近だと「22年目の告白」でそれを意図的に使っていたりしていましたし。

こどもつかい」が恐ろしい程に陳腐に見えたのもそういう部分があったのかなーと思ったりしたのでした。