dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

トム・ハンクスがゲイ役

軽く調べたら実際にあった事例をベースにしているようですな。

フィラデルフィア」ってやけにシンプルなタイトルですが、輸入の際に改題する基準がイマイチわからない。

法廷ものジャンルでありますが、ゲイでエイズを扱った作品ということで、まあ最近のLGBT事情なんかを先取りしたものといえばそう言えるのかな。監督が「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミということで全然違う作品だなぁなんて思っていたんですが、この人のフィルモグラフィの中ではむしろ「羊~」の方が異端なのかもしれない。ドキュメンタリー作品を多く撮っているし、そっちの方から見ると社会性というテーマでこの作品を見ることができるし。

ていうか一年くらい前に亡くなっていたのね、この人。

 

顔アップとか「羊~」で見られたカメラワークなんかもあったりしましたな。優等生的な演出が得意っぽく、アンドリュー(トム・ハンクス)がエイズであることがわかった途端に友人ジョー(デンゼル・ワシントン)がよそよそしくなり、視線とアンドリューの挙動のカットの切り替えだけで見せるような演出とかはかなり気を遣っている。

 

基本的にこの手の法廷ものとしては事件そのものがセンセーショナルであることが大前提としてあると思うのですが、その点では「告発の行方」と同じジャンルと言えるかもです。

普通に観ているぶんには面白いんですが、すべてが収まるべきとこに収まっていく退屈さもあるのは事実でしょう。字幕で観たんですけど吹き替えが田中秀幸っていうのがちょっと気になる。トム・ハンクス田中秀幸ってどうなんだ。

トム・ハンクスといえばこの作品ではトム・ハンクスがゲイ役をやっていて、パートナーとのホモセクシャル要素以外にデンゼルとのホモソーシャル要素もあるので、おっさんのそういうのが好きな人はおすすめできるかも。

 

あとこれは本編とは直接関係はないのだけれど、この間「TED」で半身不随だったかの女優が半身不随の役を健常者に取られたという話をしていて、その放送をしたNHKヘテロたるハンクスがゲイを演じる映画を流すということについてどう思っているのだろうか。何も考えていないのだろう。まあそんなこと考えていないだろう。ていうか、それを言い始めたら「ブロークバック・マウンテン」とかどうなるのよ、という話ではあるし「アンダー・ハー・マウス」でポリコレが足かせになっていることを考えるとアレなのですが。

こと人種というものに関してはレプレゼンテーションのこともあるし、わかるのだけれど。半身不随は役者にも体現できるわけで、ていうかそこを突き詰めてしまうとCGが云々という話になっていきそうな気がするのです。

あーでもミンストレルショーのこととかあるし、やっぱりこの問題を考えるにはまだ自分は見聞が浅いので深くは掘り下げるのは止めておきましょうか。