「ブルーベルベット」と勘違いしてたらウディ・アレンの映画だった。
それはともかく面白い。
ケイト・ブランシェットの急に独白する演技の本当に病んでる感じとか最高。
そういえば「シェイブ・オブ・ウォーター」のサリー・ホーキンスも出てましたね。まだ観てませんが、「シェイプ~」の方の役どころからはおよそ逆算できそうにないホワイトトラッシュなキャラを演じています。
「ニュースの天才」のピーター・サースガードも出てましたな。
基本的にはコメディ映画だし、個々のディテールは笑える(金ないのにファーストクラスとか)んだけど、実はよく考えると全然笑えない部分があったりする。ていうか、帰着の仕方からしてかなりシニカルだし、むしろ「だめだこの姉妹早く何とかしないと」的な余計な気遣いまでしたくなるくらい。
たとえばジンジャーの子どもたち。劇中では割とコミカルに描かれてはいたけれど、再婚するであろうチリが果たして本当に子どもたちを愛してくれるのか、とか。だってそこらへんの交流は描かれてませんからね。
あと、基本的に姉妹は何かを学んで再スタートを切るというわけでもなく、
これ、日本でやったら間違いなく無理やりハッピーエンドっぽく仕立て上げられそうですな。しかしタイムラインを意図的にわかりづらくしている編集など、なんというか映画の構造自体が少し意地の悪いものなので、かなりブラックコメディの類だと思いますです。
「孤独のススメ」
原題は「Matterhorn」ということで、おそらく「孤独のグルメ」のパロディとしてこの邦題を付けたのだろう。「~はらわた」やら「26世紀青年」やら「バス男」やら、日本の配給会社や広告代理店のセンスたるや動かざること山の如し。
LGBT映画祭で色々な賞を取っているらしい。あんまりLGBTっぽくはないと思うんだけどねぇ。明らかに、そういうセクシャリティみたいなものを強調していないし。でもまあ最後の歌のシーンとか「チョコレート・ドーナツ」ぽくもあったりはするか。
話自体はかなり奇妙なバランスになっていて、なんか女性漫画家の短編とか同人にありあそうな感じといえばいいだろうか。
ジジイ萌えする人は観てもいいかも。小汚いおっさんのウェディングドレス姿が観れるというのも珍しいし。
「ハートロッカー」
ビグロー作品。「デトロイト」から遡る形だけんど、こうして観るとかなり演出の地続き感がすごい。
ウィッキーの作品解説の文中に共存する「低予算」と「16億円」という、日本人的感性からすると「それっておかしくね?」な字面。まあハリウッドからしてみれば20億円に満たない予算など低予算扱いなのだろう。ベイも「ペイン&ゲイン」のときに20億円くらいの予算を低予算と言っていたし。
ただ「デトロイト」に比べるとスロー演出の多用なんかがベイっぽかったり、表現の仕方にまだフィクショナルな方法を用いている気がする。
や、これは普通に面白い映画でしょう。
大佐の死亡フラグの立て方とか、トラウマを和らげようとしてトラウマ植え付ける無能っぷりとかは笑ってしまうんですが。
あと子どもの死体から埋め込まれた爆弾を取り除くシーンはMGSを思い出しますが、小島秀夫はこの辺を参考にしてたりするんだろうか。作品自体には言及しているし観ていることは間違いない(そもそも小島秀夫がアカデミー賞作品を観ていないわけがないのだが)し。
ジェレミー・レナーの戦場以外での無能っぷりは、分野は違えど本多猪四郎を彷彿とさせますな。
「イコライザー」
たまたまテレビつけたらやってたよ! 前から観たいとは思いつつも次々に観たい映画が増えていって埋もれてしまっていたのですが、ちょうどいいタイミングで観られた。さすが午後ロー。
期待値を上げまくっていたせいでそれを越えることはなかったけど、デンゼルかっこいいしそれで十分だろう。個人的にはたまたま観た「トレーニング・デイ」の方が好きだったりしますが。
まあ午後ローなのでおそらくコマーシャルを除いた本編の放送時間は90分前後。しかしノーカットだと130分を超えるわけで、CM明けに「え、場面すごい飛んでるな」なんてことはかなりあって、まあちょっとモヤモヤしたものもあるんですがね。
それでも、作風としてあえて過程を省き結果を後から見せるという手法は少年漫画なんかでもありがちではありますが、やはり燃える。個人的にはラストのプーシキンの部屋から出てくるカットはワンカットで屋敷中に死体が転がっているのを見せるくらいの大胆さがあってもいいかなーとは思う。
全体的に少年漫画っぽいというか、いわゆる「なろう」系ぽさもあるんだけど、それを裏打ちする演出・デンゼル力があるので素直に「カッコイイ!」と観れるわけですな。