やっぱ是枝監督の演出はすんごいわ。
土曜プレミアで「そして父になる」がやっていたので観た。まあ散々語り尽くされているので今さら需要はないが、やっぱり自分の中でまとめておかねばいかんでしょう。
一番最初に是枝作品に触れたのはたしか小さい頃に見た「誰も知らない」だったかな。柳楽くんのアレ。あれも結構ショッキングな内容で、折に触れて思い出すことがあったなー程度だったんですが、去年「海よりもまだ深く」の公開に合わせて同じく土曜プレミアでやった「海街diary」で「すげーな」と思ったあたりからちゃんと意識しだした感じかなぁ、この人。
何がすごいって、お話的にはスペクタクルが皆無なのに興味は持続するし画面に釘付けになるところなんですよね。
子どもが画面にいるときは必ずカメラの位置が子ども目線なのとか(物語の視点としては福山なんだけど、視線がね)、リリーフランキー演じる斉木夫妻の俗物で卑俗的なんだけど愛情がしっかりあるのとかね、全員でランチを食っているときに撃たれたフリをするんですけど、リリーたちだけガチ演技で付き合っていたりね。
そういうちょっとした所作、視線、といった部分から子どもとの関係性を浮き彫りにして、車や家など視覚的に経済格差を表現していたりと実に映画的。
お泊りの翌日の家のライティングの暗さとか、電車もそうだけどあんなに暗くすることないだろうに(笑)
初めてのお泊りのときの、野々宮の方の実の親子なのにどうしようもない他人感があったりとかねーすごい。
「ほんとに優しいんだなケイタは(静かな怒り)」の福山の声とかもイイね。
「君はいい子」でもそうだったけど、尾野真千子のちょっと寄る辺ない佇まいもすんごいの。呉美保監督はこの尾野真千子見て決めたにちがいない。
リリーフランキーは言わずもがな、真木よう子も子役もすみずみまでよろしい。
ババママと呼ぶことがミッションであるという残酷さとか、憎むべき相手の家族に可能性を垣間見せるのもなんかこう、いい意味で胸につっかえる。
あと最後の方の、道。やや低い道から最終的に同じ高さの道に福山が戻って抱きしめ合うのとかねーすんごいイイネ。
紆余曲折あったけれど、最後は一つ屋根の下に収まる。その優しい結末を迎えたままエンドクレジット。
題材もさることながら、確かな腕を持つ是枝監督。
でも観たい映画溜まってるから「三度目の殺人」は後回しになるかも。