dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

さーいしょかーらこうなるこーとがわかってーたーみーたいーにー

サム・ライミってこういう映画撮るんだなぁ・・・。

ライミといえば「スパイダーマン」か「死霊のはらわた」どちらか、というのが世代ごとの印象として強いと思うのですが、どっちに親しんでいるにせよ「シンプル・プラン」はライミの作品と言われてもパッと観ただけではわからないくらい作風が違う気がする。

というか話がそもそもスーパーヒーローとか悪霊とか魔女(の呪い)とかではなく、かなり地に足着いたサスペンスだからなのだろうけど、そもそもライミにそういう趣向があるとは「シンプル・プラン」以前と以後の一連の作品からはあまり想起できない。園子温はライミと親しいコーエン兄弟に対して思うところがあるんじゃないかと言っていましたが、まあライミよりはコーエン兄弟っぽいシリアスさではある。コーエン兄弟の作品はそんなに見てないけど。

あーでも善悪や侮蔑といったものは「スペル」にも見られるような気もしなくもない。

最近の仕事だと「ドント・ブリーズ」の製作なんかやってましたが2017年は特に何をやっていたとか情報を聞き及んでいないのですがドラマ版の「死霊のはらわた」で忙しいのだろうか。一応バミューダトライアングルでホラーを作るらしいけど。

 

それはともかく「シンプル・プラン」はかなり脚本力が強いというか、ライミの過剰なアクション(広義)はかなり抑えられている。血はそんなドバドバ出ない(といっても雪の中で目立つようにしてたりはする)し。

なんとなく最近の日本で流行っている「田舎のダークさ」みたいなもののアメリカ版とでも言うか、そういう閉塞さがもたらす負の側面みたいな空気がかなり濃厚に漂っている。しかし、白石監督や小林監督や入江監督(は前二人にくらべると違うが)のような暴力を笑いに昇華させてたり、ふとした瞬間に笑えるような間を作ったりとか、そういうのはない。ただただ田舎という狭いコミュニティにおける狭い面積と狭い(がゆえに親しい)人間関係が、一つの出来事で瓦解していく。そこに笑いの要素はなくて、惨めさと後悔のようなものや蔑みといったイヤーな部分をつついてくる。

しかも、5人(カウントの仕方によるけれど)が死んでるのに主人公の生活が映画の冒頭とラストでまったく変化していないという虚しさ。ああいうのをちゃんと映画的に見せてくれるのはさすがの手腕ではあります。

いや、本当にただ虚しい映画ですこれ。過去を振り返って後悔するとか、そういうのすら億劫になるほど虚しい映画。

某アニメで世界一の富豪という設定のキャラクターが「金の力は大きいだ」と仰っていましたが、金はあくまできっかけに過ぎず、それぞれの人物が内に抱えていたものがそれによって表面化しただけでもあるような気もする。

ちょっとした態度などから人物Aの人物Bに対する印象などは示されていて、しっかりとした作劇がされていて見ていて面白いんですけど、なんだかやるせない映画だ。