ある意味で両方とも家族映画ですが、「西部開拓史」はまあハドソン姉妹もとい「ジェーンに何が起こったか」とはまったく作品性が違うんですけれども、個人的には後者の方が好きでした。ていうか強烈すぎる。
「西部開拓史」は何人かの監督が5幕に分かれた一本の作品の1幕をそれぞれ担当しているのですが、その中にはあの「駅馬車」のジョン・フォードもいます。まあ3/5がヘンリー・ハサウェイなんですが。しかしどうして最後のアクションをジョン・フォードにやらせなかったんだろうか。や、ハサウェイさんのも十分すごかったんですけど。
大きな歴史の流れの中の一つの家族の物語ということで面白くああったんですが、ちょっと立て続けに観た「ジェーン~」のインパクトが強くて・・・。
ということで「ジェーン~」。
いやーすごい映画だこれ。ベティ・デイビス演じるジェーン・ハドソンが本当に不快でちょっと本気でイライラしましたもの。ちょっと演技が本当に来ます、とさかに。まあブランチ・ハドソン(ジョン・クロフォード)の愚鈍さというものもそれに拍車をかけているんですが、ある意味でこの愚鈍さというものは負い目だったんかなーと最後まで見ると思ったりする。
これ、ブランチが半身不随になったきっかけでる事故の真相(ちょっとアレですが)が明確になるまではジェーンが本当に嫌な奴として描かれているんですが、よくよく見てみるとブランチにもちょーっと怪しい部分があったりするんですよね。といっても、露骨でもないしわたくしの思いすごしとしか言えない部分でもあるんですが。
いや、でもブランチに哀愁を感じさせるような作りにもなっている(部屋の電球が過去の栄華を表すような小さなスポットライトのように見えたり)、ジェーン人形のくだりとか色々。ていうか、あれって一つの介護生活であるわけですから、そう見るとストレスが溜まるのもわからなくはないんですよね。
いやーでも餓鬼さながらにブランチの部屋でチョコを貪りくうところとか(状況的に仕方ないとは言え)鏡に彼女を写して相対化させるよう表現をしていたりするし。やっぱりブランチを純粋ないい人として見せてはいない気もしなくもない。
あとラストの衆目の描き方。ジェーンを見る人々の目と、それを受け止め喜び踊りだすジェーン。
この哀愁は、どうにも捨てがたい。
鏡もそうですし