コッポラの「ドラキュラ」
ファンタジーとしてよくできていて、衣装とか特撮とかセットとか、そういうのを観ているだけでも楽しめてしまう。なんというか、この映画に限って言えばリドリー・スコット+ティム・バートンというか。
「ブレードランナー」「グラディエーター」の世界構築という点でリドリー的であり、「シザーハンズ」「スリーピーホロウ」のフリークファンタジーという点でバートン的であると言えばいいのだろうか。タイムライン的には後発のものがそれぞれ一つずつあるんだけど、わたし個人のタイムラインとしては「ドラキュラ」が後ろになるのでいかんせんそういう見方をしてしまう。
しかしエロい。ブラムストーカーの「ドラキュラ」は読んだことなくて、レ・ファニュの「カーミラ」は読んだことあるんだけど、そっちの印象に引きずらていたからすごい露骨にエロくてびっくり。
途中でキアヌがドラキュラの嫁三人にねぶられるシーンがあるんですが、ここのエロさが半端ないです。一人やたらとエロい人がいるなーと思ったらモニカ・ベルッチだったし。
ゲイリー・オルドマン、ウィノナ、キアヌ、ホプキンスと役者が豪華っていうか、まあ脇役も含めて基本的に老若男女が美男美女。そこに石岡瑛子の衣装が合わさって眼福ここに極まれり、といった感じ。
とはいえ、話はすごく単純なラブストーリーで、ドラキュラ公とミナの時を越えた愛の物語。キアヌくんはまあ、どんまいというしかないなんだけれど。
あとホプキンスじっちゃまの演じるヴァン・ヘルシングがドラキュラの存在を確信して興奮するところとか、すごい可愛い。
異なるフリークの対立という構図もあって、とにかく観ていて「ふつくしい…」となる映画です。
そういえばミナが読んでた「千夜一夜物語」ってエロい本だったんですね。同じバートン翻訳で言えば「カーマスートラ」がエロエロ(ていうか性)なことは知っていたんですけど、こっちも元のタイトル「アラビアンナイト」でググると風俗系のものが結構出てくるし・・・。
これもすごかったですねー。
実話ベースとはいえどこまで実話なのか知りませんが、愛人の電話を受け取る妻の気持ちってどうなのよーとか色々考える。
ただ、閉じ込め症候群って今の医療技術とかでどうにかならんのかなーと思ったり、改めて医療とかその方面への知的好奇心が刺激された。
音楽も良かったですね、そういえば。
「サスペクツダイアリー すり替えられた記憶」
いま話題沸騰中のジェームズ・フランコ主演映画。
人の記憶というものがいかに曖昧なものか、というものを再認識する。
そういうのって実際にありますもんね。以前もどこかで書いたような気がしますが、久々に会った幼馴染と自分の間に決定的な記憶の齟齬があった経験があった自分からしたら、決して他人事ではないし。ていうか、誰にとっても他人事じゃないんだけれど。
ていうかこれ、劇場未公開なんですね。
まあでも、これを見るくらいだったら「サウスパーク」の油樽がフィッシュディックのネタを自分のものとして本当に信じ込んでしまうネタのほうがスマートに面白いかなーとは言える。映画を何かと相対化しすぎるのはどうかと思うんだけど。
まあ、タイトル詐欺というか「嘘は言ってないよ」という体ではあるんでしょうが、ねえ。
あと、ジェームズ・フランコのミートゥー関連の騒動の後だと彼の濡れ場のシーンが作品の内容の割に多く感じてしまうことに邪推が働く。
「サイドウェイ」
アレクサンダー・ペインの映画。方向性の違うダメな男二人のロードムービー。
相変わらずこの人の映画は妙に面白い。といっても「ネブラスカ」しか観てないんだけれど。
こういう映画って日本でも撮れないかなぁ。それともわたしが知らないだけで映画館にかかってたりするんだろうか。