dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

2021/9

「ミッドナイト・スペシャル」

なんかこう…シャマランみたいなバランスというか。映像の小奇麗さはなんとなく「シグナル」っぽさもあって、この辺は世代的なセンスなのかもしれないのだけれど、なんだか妙な感じ。

とはいえアバンからタイトルがの出し方(主人公たちの車が深夜の闇夜の中に溶け込んでいきながらのMIDNIGHT SPECIAL)とか洒脱だし、マイケル・シャノンやジョエル・エジャトンといった風格漂う俳優陣の緊迫した表情からのテレビの情報の演出など冒頭からサスペンディングしてくれて、いったいどうなるのか。

と思ってからのまさかのSF路線。いや、まさかそっち方面に行くとは思わなかった。それが悪いというわけではないのだけれど、目から光線というのは色々と絵面的にアホっぽくないかな。まあ序盤のアメコミの演出とか牧場の信徒の話から「ジェノサイド」路線とかガンツみたいなあれなのだろうかと勝手に期待したこっちが悪いのですが、まあそれはいい。

あそこまで露骨に目が光るのってて「光る眼」のオマージュだったりするのだろうか。衛星のくだりとか観ている側が実は観られていたという逆転の構図なんかもそれっぽいし。全体的にはそういう話ではないんだけれど。

個人的には超常存在の位相をあそこまで視覚的に表現するのであればもっとデザインを凝ってみても良かったような気はする。空間そのものを現出させるというアイデアは良かったけれど。

あとダンストはかなりいい感じに年を重ねてきていると思う。メイクの違いもあるのだろうけど「ビガイルド」よりも先に作られているであろうこっちの方が老けて見えて、その老け方はかなり地に足付いている感じで良かった。いや、「ビガイルド」のダンストも好きですけど。

 

「フィフス・ウェイブ」

序盤のディザスター描写がクライマックスでしたね。

なんというか、ヤングアダルトのポストアポカリプスor体制管理下のデスゲームというのは日本でいう異世界転生とかおっさん美少女化とか、もはやああいうフォーマットとしてあるのでしょうか。

クロエはまあ別にそんなに巷間でいわれるほど私は好きでも嫌いでもない(ヒットガールすら別にそこまで)ですが、それにしてもまあ映画自体がぶっちゃけしょっぱいので彼女の魅力もいまいち引き出せてない気がする。ていうか沢城みゆきでいいのか?

 

 

「アリー/スター誕生」

54年版しか観てないのですが概ねストーリーはなぞっている感じでしたね。

こういう言い方をするとアレですが、色使い(というかその主張の強さ)が「パシフィック・リム」並みにバキバキな気がする。と思えばライティングを排しているかのような質感の画面も多い。

基本的に赤色はジャックのカラーでブルーはアリーのカラーであり、それによって両者の距離感などが図られる。最初のどらぁぐバーの方もそうだし、最後のジャックの家の中に溢れる赤色が、消え入るように画面がトランジッションしていくのもそう。

また、決定的な出来事を映すことを排し、シーンとシーンの間で起きたのだと、次のシーンによって描き出す。ジャックの父親の墓の件や、それこそジャックの自殺のシーンなど。それらはすべて、それまでのプロセスによって、画面内を流れる空気のようなものによって伝えられる。

ただし、決定的な出来事を時間をかけてたっぷりと描き出すシーンもある(が、そこに過剰な演出があるわけでもない)。それは二人の出会いのシーンだ。言うまでもなく、それは絶対的な肯定を以て迎えられるものであり、それゆえにその部分だけは最序盤であるにもかかわらずたっぷりと描かれる。ちなみにこのシーンもやはり赤色・青色で満たされている。

そしてジャックの死によって二人の関係は永遠になる。否定も肯定も善悪の二元的な感覚もあまりこの映画にはない(アリーの作曲スタイルに関して、二人の関係性のこじれ以外には機能していないし、音楽プロデューサーの結果的な自殺教唆的発言に関しての物語的なカタルシスのようなものもない)。どちらかを否定し悪と断定することを避けている。そんな映画にあって、二人の出会いだけは絶対的な肯定がなされる。その結果がジャックの自殺だとしても。

だから、悲哀もあるしアリーはそのジャックというくびきに括られてしまうラストではあるのだけれど、それでも出会ったことそれ自体は否定されるものではないのだと。

 

鬼滅の刃 無限列車編」

原作完全未読・アニメも観てない。風聞の情報くらいしか知らずに観てたのですが、いや全然いいですよこれ。公開当時に煉獄さん(敬称つき)煉獄さん(敬称つき)とコールされていた理由もよくわかる。

演出についてはこれは監督というより撮影の寺尾さんの手腕が大きいんじゃないか、というのはまあufoの特にタイプムーン作品を観てる人はみんな思うことだと思うのでその辺は割愛。

あとキャラクターの輪郭線の強弱(太細)がかなりメリハリつけられていてビビった。それ以上に元から線が太いもんでこのままコミカル調でいくのかとちょっと怖かったんですけど、さすがにそれはなくて良かったというか。

涙のでかさがジブリに負けず劣らずだったり、ともかくカリカチュアが割と強く、かなり情動に訴えかける作りになっている。それだけで十分なのに過剰に説明的なセリフが加えられることや善逸と猪の夢のギャグ描写のアンバランスさはもう少しどうにかならんかったのかとは思う。

んが、これはまあメディアのとのかかわりゆえなのだろう(塚越的に)ということなんだけれど、でもこれ原作でもこの通りの説明的なセリフが多いのだとしたら音に関係しているのかと思わんでもない。タツキの「ルックバック」と対置させる形で言及されていたのだけれど、やはりどっちがと言われれば後者の方がスマートではあるのだろう。

メディアとのかかわり方の問題は映画というメディアを語る上ではかなり難しい問題なのでここではできませんが。

アニメの質は良いし、煉獄さんだけでまあ御釣りがくるので全然いいんですけど、フジテレビの地上波放送で見るとCMの挟み方がひどい。特に煉獄さんが死んだ直後のCMがパワプロコラボのコマーシャルて。相変わらずズレてるフジテレビ。

煉獄さんは本当いいです。

 

「ロストバケーション」

良い感じのサメ映画。なんというかこう見やすさ優先する感じで変にお高くとまってないというか。まあサメ映画でお高くってどんなんじゃ、という話ではあるんですけど。

スマホ画面の演出とかね。

ダニー・ボイルの「127時間」+サメ、といったところでしょうか。あっちほどエッジの効いた表現があるというわけではないかもしれませんが90分未満のランニングタイムも含めジャンル映画としては十分の面白さかと。

 

「カジノ・ハウス」

町内会の合議という文化が向こうでまだ残っていることの希望というか、日本の絶望というか、こんなしょうもない映画で思い知らされるとは思わなんだ。