dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

その夜の侍

アベマで。ハゲの邦画チョイスはさすがにハズレがないなと。

 ただコメントの反応を見ていると、やはりというか単純明快な話じゃないと文句たれパンダさんが多いという印象を受けますね。まあ、そんなもんなんでしょうか。

 わたくしの感想はといえば、かなりの良作なんじゃないかと。山田孝之が演じるあまりにもクソすぎる木島とか、そんな木島と学校での複雑な友人間ヒエラルキーを思わせる関係性の小林(綾野剛・演)とか最高。

 赤堀監督は舞台演劇がメインで今作が映画は初監督ということらしく、なんとなく生粋の映画監督ではないのかなーと思う描写が割とあって、そういう個性的な味も楽しめました。まずはワンカットが長いというのがあるでしょう。舞台演劇となるとやはり一発勝負でカット割りというものもないでしょうから、そういう感覚が映画に繋がっているんじゃないかなーと思う。木島が星さん(田口トモロヲ)に灯油ぶっかけるところとか、画面から星さんを外すことはあってもカット割らないのね。

 あと全体に渡って暗いグリーンの色が象徴的でしたね。キタノブルーならぬアカホリグリーン的に使われていて、なんとなく「単純ではない」「息苦しさ」のようなものが作品全体を覆っていて印象的でした。キタノブルーといえばアウトレイジの最終章の予告編が結構ソナチネあたりを連想させる感じで期待値が上がってきているんですが、まあそれは置いておきましょう。葛城事件のポスターも緑っぽい感じでしたし、監督はおそらく意図的に選んできてるんじゃないかなーこの色。

 プリンの使い方も良かった。木島に奥さんをひき殺された主人公の中村さんは、生前の留守電で「プリン食べるな」と言われている最中にプリンを貪るという行動に出ていた。それが最後の最後になって、何度も聞いていた留守電を消し、そしてプリンを開けて葛藤の中プリンを自分の体に叩きつける。このどうしようもないやるせなさを含んだ――こう表現しても良いのならば――前進したのでしょう。

 なんというかまあ、あまり口で説明するのも面倒ではある。読み物ではなく自分の感想の吐露であるので別にかまわんのですが、改めて過去記事を読み返してみると「マンチェスター~」と「20th ~」にどれだけ情動したかというのが比較できて面白い。そういう意味でもやっぱり感想を吐き出しておくのもいいのだなーと改めて思った。「20th」は最後どうなったか忘れてたりするんですがね。