てなわけでマーベル映画。エンドゲームで見切り付ければよかったのを、ディズニー+にすら入らないままどうにかこうにか配信シリーズもなんとか観つつ、しかし一時期のような熱量は明らかに失っているにもかかわらず未だにずるずる惰性で観ている自分もどうかと思うが、しかし今回は「ちょうどいい」でおなじみ(?)の「アントマン」ということもあり、そこまで抵抗はなかった。
のだが、開始早々問題が。
今回IMAX3Dで観たのですが、私のIMAX眼鏡の問題なのか上映劇場側の機器の問題なのか、あるいは可能性としては薄いと思うがアントマンの世界観を表現するためなのか、被写界深度が浅くなると背景も人物も垣根なく多重化するわ4回に1回くらいは字幕が多重化してめちゃくちゃ読みづらくなるわでもう大変でしたよ。だもんで最初の20分くらいは混乱していてちょっと覚えてない上に余計な疲労を蓄積してしまっており、なんかもやもやする結果に。ほかの観客は特に何か言ってるでもなし、スタッフも特に何か言ってなかったので多分自分の眼鏡の問題なのだろうが、みなさんもお気をつけあそばせ。
余談から入ったが本編については、まあこれだけ劇中での物語のスケールが壮大(ミクロ世界の話なのに)になっているにもかかわらず、作品のカラーや質そのものは相変わらず軽く、良くも悪くも「ちょうどいいポップコーンムービー」だったな、と。
細かいことを言い出すと色々あるので殊更あげつらうことはしないけれども、しかしマルチバースのネタのほとんどが「リック&モーティ」でもっと面白くかつ秀逸な表現でやってしまっているものばかりなのが残念。まあ向こうはアニメだし、そもそもからしてかなり実験的な試みをしている作風ではあるので、どれだけマスに向けてチューニングできるかというのを少なからず抱えているMCUにおいてそれを目指せというのは酷なのだけれど。
本作の脚本を担当したジェフ・ラブネスは「リック~」のシーズン4からシーズン5のいくつかを担当しているので、自分のネタを使いまわしてんのかと思いきや、本作におけるマルチバースネタって「リック~」で別の脚本家が書いた話ばっかりじゃねーか!
それってどうなのよ?いや実のところそこまで気にしてるわけではないんだけど、だとしてももうちょい面白くできたのではないかと……。
結局は量子世界の話なのに物理(質量)最強とかいう頭の悪い戦闘描写もアントマンらしくていいとは思うけれど、そのせいでかえってカーンというキャラクターの凄みが全然でてないのはちと残念。まあ彼にしても平衡世界を滅ぼしてきたという割には三下ムーブしかしてないし、たかだかスコットとステゴロで互角よりちょい上というフィジカルだし、今のところ大ボスとしての魅力はあまりないんだけど。ドラマシリーズはもうほとんど追ってないけれど散々前振りしていたらしいし、それがこれっていうのはMCUの熱心なファンはどう考えているんだろう。まあミッドクレジットを見るにもっと格上のカーンがいるということなのだろうけれど。
個人的にはモードックをああいう風にしたのは、まあ反論もあるだろうけれど良かったと思う。アントマン一作目でのイエロージャケットに関しては、ぶっちゃけハンクのせいだろと思った人も多かっただろうし、ギャグ的にとはいえちゃんとああいう手向けをしてくれたのは多少なりとも救いがあったと。まあキャシーのあんな軽いノリの説得で改心するのか、というのもあるが。
ヴェブ(それカービィじゃん)とかビーム頭さんとかいい人外キャラはたくさんいたしビジュアルは良かったけれど、どれも生かしきれてないなぁ、と。
原作からしてそうなのだろうし、それがどこまで織り込み済みなのかというのはわからないけれど、カーンというキャラクターの発言などを考えると彼が黒人であることを考えると色々と面白い気もする。