「フィッシュ・ストーリー」
バタフライエフェクトがやりたいのはわかるけど…まあPKに比べればいいか?
「柔らかい肌」
何気に冒頭の家でのやりとりがワンカットなのですが。
フラストレーションをためにためてからのラストは最高!
「日曜日が待ちどおしい!」
タイトルに比べておどろおどろしいんだよ撮り方が。いやもちろんコミカルに描かれてはいるのだけれど、この唐突な暴力性とその結果の切り取り方が、なんというかこう…黒沢清を想起させるというか。いや時系列的には逆だが。
「コーダ あいのうた」
金ローで。想ったより良かった。まあマイルズとのちょっとした衝突パートはあまりにも手順的かつクリシェ的だし、別に仲直りという理由付けがなくても湖ダイブのくだりはできただろうからその辺はちょっとどうかなぁ、と思う。どうかなというかいらないのでは、というか。
色々な側面から切り取ることができるとは思うのですが、ヤングケアラーの問題として観た場合、身体的な介助がないという点ではまだ身体的負担は少ないのだろうと思うのだが、あれだけ顕在化していたり漁業仲間とも良好な関係を作れているようにも見えるので公的扶助や共助(菅の顔を思い出して吐き気が)はできないのだろうかと思ったりするのだが、日本とは制度も違うだろうし難しいのだろうか。要するに、その辺の詰めの甘さというか、ルビーとの葛藤という作劇場の都合もあるのだろう。
なので、そっち方面をあまり考えすぎるとドツボにはまるのが見えているので、もっと面白そうなことに関して考える。
それは、手話という言語も発話という言語も本質的にはフィジカルな運動なのではないかという視点。当然と言えば当然なのだが、腹式呼吸のくだりや感情を表現するためのジェスチャーなどに特に感じだ。
それゆえにラスト、クライマックスの歌唱シーンの、二つの言語を使い、言葉を届けることの感動はあった。あれこそが、先生が見出した彼女のオリジンに寄って立つ彼女だけの歌い方なのだと。「こうすればろう者にも歌を伝えられるのだ」という(もちろん、本質的な問題は「ナイト・クルージング」や「俺が公園で~」所収の尼さんの話が描き出す絶対的断絶は浮かび上がらないが)感動を与えてくれる。
これがデフォになればいいではないか、というのはさすがに酷か。
「プライベート・ウォー」
冒頭と最後のまさに哀鴻遍野な風景で閉じるのは中々。細かい戦場ネタとしてのジムの会員証で通れる、ストレスで母乳が出なくなるなど、前者はともかく後者については戦場だけでなく被災地などでも見られることだろう。
それにしてもここまで酒とたばこが単なる依存対象としてしか描かれないのは珍しいような。
かなり手堅く真摯に作られている映画である。