dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

2021/1

「アーヤと魔女」

特段目を見張るものがあるというわけではないのと、後半の駆け足っぷりがすごく気になる程度なのですが、個人的には「母親」ひいては母性の扱いについて色々と思うところがあって、まあこれに関しては私自身がまだ思索をめぐらせるには知識が足りないのでここで書くことはしませんが、色々と考える余地はありそう。

でもまあ、やっぱりアニメーションって大変な作業なのだなぁ・・・となぜか改めてこれを観ていて思わされました。そう考えるとディズニーのあのハイクオリティというのはやはり大資本と才能の人海戦術だけがなしうるものなのだぁ・・・。

 

 「白い恐怖」

グレゴリー・ペックってこんなにアゴ細かったっけ?

今見ると精神分析のくだりそのものが「おいおい」てな感じがしなくもないのだけれど、アングルとか拳銃自殺やらスクリーンプロセスの不穏感とかはさすが。しかし自分の体調が最悪な状態だったので妙に展開ののろさにイライラしてしまった。最低だ、俺って。

 

サハラ 死の砂漠を脱出せよ

ファンタジー路線かと思ったら全然そんなことなかったでござるの巻き。

この手の映画(つまり午後ロー路線)にしてはかなりストレスフリーで観れるというのは何気に良いのではなかろうか。メインキャラクターが全員能動的に動くことで状況を常に変化させてくれるので、単純に画面が飽きないというかなんというか。まあマコノヒーの当初の目的がさらっと人助けに変わっていたりするのはややもすると不思議なのですが、とはいえ提督含めみんな割とナイスなキャラなので午後ロー枠として見ればまあまあ良いほうなのではないだろうか。

 

 

「ギターを持った渡り鳥」

 助監督が神代辰也というところに目が行ってしまった。

にしてもである。この時代の日本であればまだ銃器を出すことがファンタジーではなかったのだな、と。まあそれはやくざのことを考えれば今でもまだファンタジーではないのだろうけれど、それにしても西部劇じみた決闘といい、冒頭の白人との乱闘といい、ところどころに見えるある種のコンプレックスのようなものが。

 

 

「狐狼の血」土曜洋画劇場

ほんと邦画界の良心ですね、白石(両名)監督は。役者といい音楽の使い方といい、ギャグセンスも含めて流石と言わざるを得ない。

善悪の彼岸を融解させ必要悪なる道化(なればこそ綱渡りせざるを得ない)を演じるオオガミの生き汚さの美しさは、それこそ「綺麗は汚い、汚いは綺麗」と言いたくなるようなカタギへの人情へとかぶいているのである。

カメラワークは「凪待ち」にも見られるものでしたが、それよりもなおかなり遊んでいて、長回しだけでなくクライマックスのトイレの一連のシークエンスを見るに(わざわざ透過して見せたトイレの壁を映すあたり)かなり力を入れているのが分かる。またそこに使われる太鼓の音は「底のみ〜」にもつうじる(これしか引き出しのない拙者のデータベースの少なさよ…)盛り上げ方。

松坂桃李も、わかっていたけれどここまで良い顔ができるとは思わなんだ。

 

にしても、この人情的な描き方、ある意味で北野映画の無常なゲーム性に対するアンサーめいてもいて面白いのですが、これってどっちが主流なのだろう?

 

「JUNO」

これ、なぜかわからないのですが勝手にロブ・ライナーが監督してたと思ってたのですが、ジェイソン・ライトマンじゃないですか!個人的にはリンクレイターやアレクサンダー・ペインと並置して眺めたい監督の一人で、「ヤング≒アダルト」(傑作)や「タリ―と私の秘密の時間」(傑作)など、女性を主軸に据えたそこはかとない(でもない)性的な問題にアプローチしながらも決してシリアスにならない素晴らしい監督だと思う のです、「JUNO」も良かったです。

この映画の前年には日本で「14歳の母」というドラマがやっていたことと考えると、その問題へのアプローチの仕方、あるいは同じような問題を扱っていても視点の違いなどが異なっていてとても面白い。

ていうかエレン・ペイジ、去年末にカミングアウトしてたのですね・・・女性とカップルでTGでエリオットという名前に変えたということは性自認が男性ということだったのだろうか。そんな人がジュノを演じていた、というのもなんだかすさまじい話ではある。

モールでのヴァネッサを観るジュノの表情だとか色々といいなーと思うディテールはあるのですが、ラストカットのシンメトリックな絵面で占めるのが粋でござい。

基本、この人のこの手の映画というのは主人公のモノローグひいてはナラティブによって進んでいくのですが、その手法それ自体およびその「語り」をする主人公の割り切りというのが、ほかの映画で見られるような鼻につく湿っぽさがないのがすごいと思う。

 

 

ハスラー2」

 1を観たことなかったんですけど、意外や意外(?)にも1を観ずとも楽しめるという。まあ原題を考えるとあまり続編だということを意識させないようにしていたようにもできなくもないですし。しかしスコセッシでしたか、監督。

流血しない映画も撮れるのか、スコセッシ(偏見)。

それにしてもトム・クルーズである。そしてタトゥーロ。

メンターであるはずのポール・ニューマンがあまりメンターとしての完全性みたいなものがそこまで表立つことない、というのが割と不思議なのですが、これって1を観ているとわかるのだろうか。