dadalizerの映画雑文

観た映画の感想を書くためのツール。あくまで自分の情動をアウトプットするためのものであるため、読み手への配慮はなし。

大虐殺と呪術

ここ一ヵ月忙しくて映画を観る暇がないにもかかわらず大作だけでもどんどん詰まっていくにつけ、これは早めに消化していかないと、と思い夜勤明けにもかかわらず2本ハシゴしてきましたよ、ええ。

というわけで「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」と「劇場版 呪術廻戦0」を観てきた。

「呪術」に関しては一応テレビアニメはリアルタイムで追っていたんですけど、個人的にはそこまでハマったわけではなかったんですよね。ぶっちゃけるとほかの映画を観たかったんですが時間的にもハコ的にも「呪術」しかなかったのでそちらを、といった感じ。ただまあ、どちらも主人公が憑りつかれているという点では似通っているのではないかろうか。

「呪術」は作画は良いし演出も外連味があってまあ楽しめたといえば楽しめたのですが、それだけといえばそれだけだった。演出、特にバトルに関しては基本的に物理だったりカット割ったら敵が間近にいるとか、結局はビームぶっぱだったりと良くも悪くも少年漫画的なクリシェの連続。それとテレビアニメシリーズと別で主役を立てているために前半の駆け足具合がちょっと気になる。回想もちとくどい気はしましたが、まああれだけたくさんの客が入っているということを考えるとそういう配慮も必要なのだろうな、という印象。

やってること自体はこれまでのジャンプマンガを原作とするテレビアニメの劇場版の系譜と大して変わりはない(DBしかりワンピースしかりNARUTOしかりBLEACHしかり。ゲストボスではなく、味方陣営のトップ人気キャラとの因縁のあるキャラ、というのは大きな違いといえば違いだが。

とはいえそれも昨今のジャンプのメディアミックスの方法による違い、というだけの話だ。今までの、上記に挙げたようなジャンプアニメ群の劇場版アニメというのは、はっきりいって年に一度の地元のお祭り的などうでもいいものであるわけだ。それは原作マンガの設定を借りただけで原作には介入しないものだったからだ。もちろん、それらの祭りに登場したゲストキャラがメディアミックスに駆り出されたり、ミームによって爆発的な人気を博したりした結果逆輸入的に原作に持ち込まれたりということはあれ、基本的には原作マンガとは無関係の話だった。

10年前までのジャンプアニメの戦略というのは、とにかく途絶えさせることなく続けることだった。だからこそテレビアニメの枠で原作のエピソードが枯渇あるいは追いつかれてしまった場合にアニメオリジナルというもので繋げるわけだ。しかし、深夜アニメがもはやアングラ的なものではなくなった現在において、そのようなメディア戦略を展開する必要がなくなったため、クールで区切りで、そのクールに集中してリソースをを使い、その合間を劇場アニメーションやグッズ・コラボを大々的に展開し、あるいはまとめサイトといったコミュニティを許容するなどして拡散させるに任せることで常に話題に上らせ続ける。

なわけで、別にそこまで目新しいものがあるというわけではない。というか、原作と地続きであり、アニメーションを原作に還元させるという点において集英社がより時代に合わせて狡猾なマーケティングをしている、というだけだ。

とはいいつつ「無限列車編編」はちょっと毛色が違っていたし、あれ自体も良かったとは思うけれど。

しかしこの世代のジャンプマンガのギャグセンスがまったく自分のツボとハマらないのはなぜなのだろう。戯画ぐあいは誇張の仕方、あるいはギャグのタイミングそのものが無粋に感じてしまうのですよな。

あとまあ乙骨くんの声優が緒方恵美な理由は納得というか。シネスコなので画面の情報量は多いしテレビよりは派手派手だし、戦闘シーンも迫力ある(ワンパターンだが)から退屈はしませんでしたけど。

個人的に一番面白かったのは観終わった後に「乙骨と東堂のからみ(おそらく劇場版で追加されることを期待していた)なかったね~」という、まさかのカップリング嗜好をお持ちのお姉さま二人の会話だったり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方「ヴェノム」。こちらもまあ前半はかなり駆け足気味ではあったのだけれど、ヴェノムカワイイ。それで十分な気がする。本当はヴェノムがエディのオルターエゴで~とか色々そっち方面への話も展開できそうな気がしないでもなかったのですが、ぶっちゃけヴェノムのカワイさの前にそういう語り口は無粋だと思うので、ともかくヴェノムカワイイと愛でるのがこの映画の一番の楽しみ方なのではないだろうか。

昔の恋人アンと今のパートナーのヴェノム。しかしセクシャリティジェンダーという軸が両者には適用されないために葛藤は生じえないために無駄などろどろもない。

すねるヴェノムかわいい、マイクパフォーマンスヴェノムかわいい、マイクドロップかわいい(このクラブでのシーンで言及される移民・マイノリティへの言及もヴェノムのキャラクター性によって正論くささが脱臭されているのも良い)、ともかくヴェノムカワイイ。割とあざとさのぎりぎりのラインな気がするのですが、でも可愛い。

ヴェノムがいたら退屈しなさそうだなぁ~いいな~ヴェノム。と、こういう幼児退行的な思考を炸裂させてしまう映画というのは案外希少な気がする。個人的には「グレムリン」とかがかなり近く、こういう架空の生物と一緒に暮らしたいなぁ~という感覚。つまり、フィギュアが欲しくなる映画というのはままある(ジュラシックパークトランスフォーマー、それこそヒーロー映画全般がそうだろう)のだけれど、ぬいぐるみとかそういうのが欲しくなる、あるいはそれそのものがそのまま欲しくなるというのは自分の中では結構レアリティが高い感覚なのだったり。最近で一番近いのは「ザ・スーサイドスクワッド」のサメだろうか。

なんかもう色々とめちゃくちゃというかハチャメチャに重火器やらごちゃごちゃしたりやら、頭空っぽにして楽しめる映画ってこういうものだよなぁと。しかし監督がアンディ・サーキスってのが驚いた。マジか。